JUGEMテーマ:日記・一般
手製の虫捕り網を握って駆けた幼年時代。やがて、少年は鳥の羽根を集め始めた。
自然の中で見つけた不思議な色。ラブレター(毛鉤)へ巻き込まれる微かな記憶。
「鱗粉」と呼ばれる言葉を知ったのは、思いの外、幼年時代であった。其れは、
子供ながらに細心の注意を払っても、どうしても、すぐ指先へ剥がれ落ちてしまう。
美しかった蝶の色が、一瞬で剥がれ落ちてしまう事を知った。胸部を強く握ると
蝶は死んでしまう。虫捕り網の中で羽ばたく蝶をそのまま逃がす様になっても、
やはり野原や近くの林の中を探し続けた。ある日、少年は一枚の羽根を拾った。
其の羽根は握っても色を変えず、何時までも不思議な輝きを放っていた。少年は
大切にポケットの中に包み込んだ。まだ、ラブレター(毛鉤)とは無縁の頃だった。