野火

JUGEMテーマ:日記・一般

野火

いつ頃迄、「Nobi」と呼ばれるだろうか? もう少し、もう少しと、晩成を待つ。
整理仕事をやっていると、随分行ったり来たりで前へ進んでいない事ばかりだ。

釣人にとって其の言葉は『 一番古い日記の、一番初めに書いてある 』いまだ
若き日の名乗り名であり、呼ばれ名であった。隠れ家を「鹿ケ谷」へ移す計画を
少年と話し合っている。最初は空想の思い立ちであったが、いつか導かれる様に
ご縁に結ばれ、月日と共に現実の形を整え始めている。場所を変え、受け継がれ、
歳月の風に晒されながらも、其れはいまだ チロチロ「 still alive 」で在る様だ。
共に星霜を想うだろう小さな隠れ家を少年はまだ見ていない。釣人の正念場だ。


 

春近し

JUGEMテーマ:日記・一般

贈る花束

花屋さんへ春が届いている。摘み取られ、切り採られた花々が息を吹き返す。
限りある生命が季節を知らせ、姿を変えて、花束として心を受け継いでくれる。

特別意味はないが、紅い花は少々苦手だ。よくよく考えてみると照れくさいのだ。
同じ色系で選んでも「蘭の花」より「アザミの花」を選んでしまう方なのだろう。
主演者よりは脇役へそっと届けたい癖が在る様だ。目立たない部屋にでも明るい
輝きを放ってくれる花が美しい。時々感謝の気持ちを込めてそっと花束を添える。
面と向かって手渡す場合は、子供の頃に林でよく見かけた「青い花」が気が楽だ。


 

うねり

JUGEMテーマ:日記・一般

うねり

レ・アール方面へ出向くと旧中央市場跡の再々開発工事の定点観測台に上る。
重機が動き、大勢の労働力が注ぎ込まれている。デザインが姿を現し始めた。

釣人は大きな建築物が徐々に形を現して行く工程を目を細めて眺める。少年は
曲面が醸す雄大さを感じ取っている様子だ。「海底を行く鱝の様だネ!」と、
巨大魚が行く姿を空想している。何時の間にか?時代は建築に曲面を駆使した
形状を要求している様だ。釣人の記憶では、雄大な建築物は、力強く直線的に
空へ聳え立つ姿だった。「建築家は凄いなア ... 。」釣人は遠くを眺めている。
其の巨大な建築物は人の手を借りて建造され、何時の間にか命を吹き込まれた。
完成されると風を躰体で受け止めながら、じっと佇む様に其の外観を現す筈だ。
釣人は工事展望台でひとつ深呼吸をした。建築家の情熱を少し体の中へ頂いた。


 

街の風

JUGEMテーマ:日記・一般

街の風

街の風を体の中に獲り込みたい。実の処は、素早い風に乗って見たいのだ。
釣人はキャスティング時に少年へ繰り返し伝えている。「風と友達になれ!」。

京都訪問時は殆どを自転車走行で移動した。其の街に丁度合う風に乗る手段が
あるものだ。パリにはパリの風があり、京都には其処に似合った風がある筈だ。
坂道の走行に若干の筋力不足を感じ始めた。時代柄、電動アシストと言う手段に
頼ろうか?学生時代に乗り慣れた「ゼロ・ハン」と言う復活作戦も頭を過ぎる。
学生時代は背番号 「4」のバスケット部、相棒は、いざこれから始める初めての
「ゼロ・ハン」ライダーへの挑戦もいいネ と自信満々の様子だ。そうなると、
機動力頼もしく風と仲良しになれる。釣人と少年は、散歩道で相棒の風を探した。


 

天使の悪戯

JUGEMテーマ:日記・一般

天使の誘惑

川へおいで!登っておいで! 可愛らしい声に振り返るが、其処には誰もいない。
銘竿「Bretonvilliers」の響き。亡き師匠 J.M.DUBOS 釣具店裏口の出来事だった。

釣人と少年は引力に曳かれながら、オットトット とよろめきながら流された。
サン・ルイ島は左岸へ向かう時に良く通り抜ける道筋だ。毎日通っていた同じ道を
今でも同じ様に歩いている。工事があり、資材トラックが行き来するので、石造り
の道角は保護材で防御される。そんな板切れに、天使がウインクで微笑んでいた。
水色の翼には好感が持てそうだ。これなら落書きを嫌うおじさんでも、頭を掻いて
許してくれるだろうか?釣人と少年は各 1本づつ「Bretonvilliers」を持っている。
おじさんがデザインした銘竿。少年には釣人作の同じスタイルが、宝竿の 1本だ。


 

扉の音

JUGEMテーマ:日記・一般

扉の音

石造りの街には頑丈な扉が良く似合っている。重い金具が時々音を響かせる。
「第三の男」や「淑女の足音」が石畳に伝わり、やがて物語の扉が開かれて行く。

ノックされる音は小さな音でも案外良く響くものだ。其の音を聴き慣れた者には
其の響きが伝える情報を習慣的に感知出来るからだろう。釣人は扉を眺めながら
少年へ問い掛けた。川原を歩く音、川石が伝える響き、水を驚かせる飛沫。扉の
向こう側へは想像以上に良く伝わっている筈だ。釣人が十分注意を払う足音でも
野生魚には分厚い扉を叩くノックの様に聴こえて伝わるのだろう。そして物語は、
そんな何時もの音と共に開かれて行くものだ。少年の金星も扉の裏に眠っている。


 

春待ち空

JUGEMテーマ:日記・一般

春待ち空

春一番が吹くと翌日は一時的な豪雨となった。季節が準備運動を始めた様だ。
早春の体感温度はそんなに寒い訳ではないが、まだ温かさは伝わってこない。

空が急に暗くなると、路肩を雨水が流れる程の一時的な激しい豪雨が降った。
雨傘をあまり持ち歩かない街人達が、何時もの様にカフェの軒下へ逃げ込んで
一時避難をしていた。豪雨が降った翌日は、晴天がやって来た。相棒と一緒に
友の詩人とサンジェルマン・デ・プレ教会で待ち合わせて、三人でお茶をした。
動き回った旅話に花が咲いた。互いに母国の行き来が増えている事に気付いた。
海へ向かって進んだ日々、母国へと遡る道。四月は桜咲く京都へ向かうそうだ。


 

力仕事

JUGEMテーマ:日記・一般

力仕事

釣人は何時もと違うウィンドーを覗きこんでいる。必要となる力仕事の予感。
少年は首を回し、釣人は腕肩に聴いている。自慢の脚力はまだ大丈夫かな?

ずっと町暮らしが続いて来た。特にサボって来た訳ではないが、随分ヤワな筋力に
なっている筈だ。もう一度、一頑張り奮闘しなければならない事態が迫っている。
パリの自宅は仏式 4階(和式 5階)でエレベーター無し。毎日の階段登り降りが
学生時代から鍛えていた脚力をまだ何とか保っていてくれている筈だ。頼りにして
いるよと少年の肩を叩くが、其の世界は、18歳未満お断り「大人の男」の世界だ。
此処は一先ず、少年と作戦会議。二人三脚で、大工の棟梁と向かい合って行こう!


 

春一番

JUGEMテーマ:日記・一般

春一番

春一番が吹いた。帰国中のパリは暖冬が続き、もう春を迎える陽気ぶりだ。
暦の上では立春に入っているらしい。怪力号が春風を待つ様に停車していた。

少年の話によると、帰国中も相変わらず暖冬が続き、これと言った寒波到来は
訪れていないとの事だ。今朝は何時もになく風に力が感じられた。釣人と少年は
西空を仰いで、二人同時に「春一番!」と呟いた。いよいよ春がやって来る兆し?
街角の怪力号が春風を待っているかの様にスタンバイしている。「ゼロハン」派
の釣人だが、もう一度若さの盛りをプレゼントされたら、春一番を怪力号に乗って
駆け抜けて見たいと、一瞬の風を空想した。少年にもまだ解らない夢物語がある。


 

左京区 「鹿ヶ谷」

JUGEMテーマ:日記・一般

左京区「鹿ヶ谷」

左京区「鹿ヶ谷」

左京区「鹿ヶ谷」

左京区「鹿ヶ谷」

地図の北を上にして、東側が左京区、西側が右京区。京都の不思議から始まる。
御所を中心に北を頭に天を仰ぐと、左手側が左京、右手側が右京となるらしい。

法然院の石燈に「獅子谷」と刻まれていた。ヒョットすると「鹿ヶ谷」と書いて
「シシガタニ」と読むルーツに辿り着いたのでは? 釣人は空想を一人で楽しんだ。
観光スポット銀閣寺から哲学の道を法然院方向へ少し離れる。疎水の橋を渡って
山側へ向かった位置がピンポイント。釣人と相棒は、まだ見ぬ隠れ家を夢見ていた。
其れは前触れもなく突然飛び込んで来た。法然院へ徒歩 2分程で届く夢の隠れ家。
開かれた山寺、法然院に釣人は心の安らぎを見出した。今度は此処から出発する。
釣人と相棒はゆっくりとターンを繰り返した。二人は出発したパリを振り返った。


 

calendar
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
2829     
<< February 2016 >>
sponsored links
selected entries
categories
archives
recommend
links
profile
search this site.
others
mobile
qrcode
powered
無料ブログ作成サービス JUGEM