街に在りて

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街に在りて

例年通り、夏はパリで過ごしている。人少なくなった街は新鮮な顔を見せてくれる。
パリ中心部、シテ島ノートルダム大聖堂の裏道で緑に覆われた窓が照らされていた。

窓に白いオウムがちょこんと添えられていた。たぶん、家主は田舎造りが好きなの
だろう。街に在りながら田舎の緑が感じられた。仕事に追われて休暇を思ったり、
街を歩き、川の流れに思いを馳せたり。今年も、夏の一日が過ぎて行く。ちょっと
物足りない方が其の気を満たしてくれる事も在る。まだまだ 『足るを知る』には
遥か遠き道のりだが、身軽に少ないもので満たされる事を何よりの成果としたい。
自然の緑に造り物のオウムが添えられるだけで、夢の扉がまたひとつ開いてくれる。
釣人と少年は夏の道を歩いた。猛暑が過ぎて、急に肌寒い程の涼しさがやって来た。


 

夏のおつまみ

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夏のおつまみ

夏仕事の日課はシャワーで終る。作業の汗埃を流して着替える。夕時一杯を嗜む。
出来るだけ簡単な一品がいい。塩味利いたブルターニュ産バターを付けてひと齧り。

最近、親父譲りの晩酌がやみつきだ。日本なら相撲見ながらのひと時となるだろう。
海外では儘ならない。まづは、作業の汗埃をシャワーで流し落す。爽やかになり、
解放感が満ちる。腰タオルのまま、そのままで台所コンマ 3秒で仕上がるシンプルな
おつまみが何と言っても一番だ。潮味が溶け込んでいると言われるブルターニュ産の
バターに紅色ラディッシュがいい。少々つけて戴こう。手軽に焼酎でと行きたいが、
此方では、日常用の赤ワイン。シンプルなおつまみだが、ラディッシュの紅色、緑が
ピリッ と辛く、塩味バターが一日の奮闘を締め括ってくれる。「医食同源」などと
言い訳を探しては、夏のおつまみを戴く。疲れた日は醤油漬けニンニク一粒が付く。


 

特等席

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特等席

特等席には水色の思い出が在る。若かった父の腕の中、自転車前席に陣取った頃。
両腕をハンドルに掛け、変わる景色に興味深々。初めて二人で過ごした川原の日。

亡き父と二人で竿を振った記憶は薄い。父職場の釣り大会で鯉釣りに行った経験は
在ったが、グループでのレジャー釣行だった。今も記憶に残るのは、父に連れられ
自転車二人乗りで川原へ向かった幼い或る日の思い出だ。何も持たず、丸石積もる
川原で二人だけで過ごした時間だった。たった一度の川行きが、心に残る風として
そよいでいる。何処へ向かっているとも知らず、父の腕の中に顔を出し、前を見た
記憶が今も蘇って来る。川を見て、川原で過ごしたほんのひと時が思い出の特等席。
大人になり、二人でシアトルの海に竿を並べた時、父の頭には白髪が混ざっていた。


 

真っ盛り

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真っ盛り

今夏は此処数年続いていた「冷夏」を脱し、本来の夏らしさを取り戻した感じだ。
珍しいなァ と感じさせられるのは、夜に気温が下がらず熱帯夜の様に熱が残る事。

釣人は自宅内装工事の宿題と取り組んでいる。今夏は電気配線と安全器組み換え、
新コンセントの増設などと向き合っている。「 Le Guide de l'electricite 」教本を
確認し、メガネを擦りながら進めている。小学生の頃、プラモデル時代を経験した
おかげで、この分野は頭と指先が連動してくれるので助かる。設計図を作っては
手順に合わせ step by step で取り組んでいる。横では遊びに来た少年が配線図を
興味深く眺めている。夏の真っ盛りは、風通しの良い清々しい上空で過ごしたい。


 

出発駅

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駅

散歩の途中、少年と駅に立ち寄ってみた。夏バカンスのホームは賑わっていた。
田舎や各地方への出発、空港と一味違ったリュック姿が和やかに漂っている。

駅には重厚な金属音が良く響いていた。キラキラ光るホームを家族連れが楽しそう
に切符片手に行き交っている。少年とひと時のアットホームな夏休み風景を眺めた。
釣人は、少年と列車旅をまだ一度も味わっていない事にふと気付いた。荷物を詰め
込む車旅もいいが、必要なだけを担ぐ列車旅もいいもんだなァ と駅屋根を仰いだ。
運転を忘れ、車窓から景色を眺めながら、のんびりと旅を思うのも悪くなさそうだ。
「コーヒーを奢るよ!」 釣人は少年の肩をポン と叩き、スタンドで立ち飲み一杯。
夏の日、少年はチョコレートからコーヒーを飲む年頃になった。二人で街を歩いた。


 

夏樹

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夏樹

夏は生き物のエネルギーを活性する。切られた街路樹の古株に命が育っていた。
少年の「夏休み」、釣人は 『日残リテ昏ルルニ未ダ遠シ』 と言った感じだろう。

釣人と少年の夏休み宿題は、散歩と日記を課す事だった。釣人は夏仕事と取り組み、
少年は毛鉤巻きに集中している。基本的な技術を習得すると、後はフリースタイル、
各自の好みの問題だけとなって来る。一見、新世界への自由を手にした様に思うが、
実は、此処から暗中模索がスタートする。「自分は何故これを作っているのか?」
創作が進むと同時に自問自答が始まるからだ。夏に活性された命が、新しいものを
生み出そうとする。其々が過ごした時間、目に止めた風景、感じた風などが ... 、
想い人へのラブレター(毛鉤)として、形を成して来る時でもある。夏に育てられ、
樹が出来上がる。二人の日課表が花丸で埋まる頃、形良い緑葉が風にそよぐだろう。


 

step

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step

自然にへばり付く。忘れかけていた重さ、脛を押す水の流れ、まだ知らぬ帰り道。
第一歩目が肝心だ。ひとりで踏み出して見よう。後は、自然から学んで行けばいい。

技術や独学は、数日で目に見える成果を遂げるものではない。自然の中では、体に
既に蓄えられたモノだけが頼りとなる。実力を十分に発揮するには、まづ、集中力。
冷静な判断が、夢の新世界へソフトランディングを可能にしてくれる。注意点は、
帰路を完了してこそ、もとの位置へ戻ってこれる事を忘れない事。往路だけの動きは
単なるワンウェイ・チケットとなってしまう。現場で安全に行動したければ、準備に
何処まで仕込みを完了しておくのか? が、別れ道となる。少年へ手順を説明した。
初めての流れを歩く時には、常に元の位置へ戻ってこれるコースを確保して進む事
が肝心。自然の中での動きは、常に自分自身との相談が大切な判断となって来る。


 

夏仕事

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夏仕事

昨日(7/14)、 ジェット機やヘリコプターがパリ空を飛び、革命記念日が終わった。
昔であれば、この行進を見て、バカンスへ発ったそうだ。釣人は夏仕事を始める。

いよいよパリもガランとして来た。街中の車が減り、信号待ちの時間がもどかしい。
自宅内装工事の宿題が山積みになっている。まづは、計画を立て、ひとつひとつ
熟して行こう。相棒と少年と共に、少々長期的な展望が見え始めている。目標への
step by step , 途切れない継続が何よりの肝要と確認し合った。釣人は、微かに、
茫洋とではあったが「レトロ」から「ネオクラシック」への移行を感じ始めていた。
年齢にこびり付く保守性への抵抗だろう。もう一歩、もう少し先へ、風を掴みたい。
短冊へ願いを込め、素材とコンセプトをもう一度模索し直した。あとは、実働だ。
ライフワーク竿「あづき」「くろ豆」と連動して内装工事への取り組みを開始する。
発想の転換に少年と人が少なくなった街を歩いた。新しいコンセプトが並んでいる。


 

さらば カンボジア 「君と話したくて」

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君に幸あれ

君に幸あれ

君に幸あれ

君に幸あれ

君に幸あれ

君に幸あれ

君に幸あれ

君に幸あれ

君に幸あれ

君に幸あれ

言葉は通じなかったが、君は釣人の目を見詰めて、何かを伝えようとしてくれた。
少女は風上に小さな胸を張った。少年は少し照れながら、釣人と力競べをする。

旅行ガイド本の「カタカナ言葉」では通じ合えない何か?を 君は教えてくれた。
取って付けた様な観光言葉より、釣人は旅人の言葉で君と話したかった。解らぬ
言葉だっただろうが、君は目を輝かせてくれた。それだけで釣人には十分だった。
本当は、君と話したくて、パリからやって来たんだ。パリの街角で、何処からか
君の声が届いた様に思えた。君達を「愛しのカエル顔」と呼ぶのは、お世辞が旨く
言えない釣人のナイーブさだと、笑っては許してくれ!。 「ありがとう!」。
今日、僕は君と別れる。旅の終わりに、釣人は、もう一度、旅本を読み直した。
宮本 輝著 「蛍川・泥の河」新潮文庫より (各文面一部分づつを引かせて頂く)。

 (泥の河)
 「お米がいっぱい詰まっている米櫃に手ェいれて温もってるときが、
  いちばんしあわせや。 ...... うちのお母ちゃん、そない言うてたわ」

 (蛍川)
 「千歩。歩こう」 とそれまで一度も口をきかなかった竜夫が言った。
 「千歩行って蛍が出なんだら、あきらめて帰るちゃ」
 「千五百歩目で出たらどうするがや」 と英子がなさけなさそうに
 答えたのでみんな笑った。
 「よし千五百歩まで歩くちゃ。それで出なんだらあきらめるがや。
 それに決めたぞ」


あと何歩先まで歩こうか?人は、其処で、これからの行先を賭けて見る事が在る。
旅の途中で 『何万何十万もの蛍火が、川ふちにうねる』 光景には出会えなかった。
しかし、旅の中で釣人は、君の瞳の奥に、静かに燈る一匹の蛍を見た様に思えた。
君が暮らす美しい自然、釣人は君へ語り続けていた。 大切に!「君に幸あれ!」。


 

カンボジア回想 「宝物」

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宝物

君に幸あれ

宝もの

宝もの

宝もの

宝物

宝物

宝物

宝物

宝物

宝物

宝物

掛け替えのない「宝物」。自分を捨ててでも守る、愛のきらめく結晶と確信した。
今もアジアは貧しさを生き抜いている。だからこそ、「宝物」を大切に守っている。

野花の様に愛らしい子供の命。温かく強い親の愛情に守られている。アジアには
まだまだ厳しい環境に耐え、生き抜いている人々が多い。旅は、旅人を成長させる。
旅は釣人と相棒に彼等の「情」を見せてくれた。貧しさや苦しみを体験した人程、
「宝物」を大切に育てる。釣人は、そんなひたむきなきらめきに触れる度、何故か
悲しいまでの切迫を感じさせられた。大切なものを、命に替えても守ろうとする、
親の決意の様なものだ。心和む、温かい家族を見ているのに、心配症の釣人は、
「きっと大丈夫!」と心に問い正した。それ程、アジアには紙一重の飢餓感が今も
感じられる時があるからだ。旅人として訪れたカンボジアは、経済の成長に遅れを
感じさせられたが、根底を支える精神面で、先進国が忘れ去ったものを大切に守ろう
とする情を感じた。野草の様に強く根を下ろし欲しい。掛け替えのない「宝物」は、
必ず可愛らしい蕾を付けるから ... 。釣人はアジア「カンボジアの旅」を回想した。


 

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