色の旋律

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色の旋律

枯れたおじさんが ヒョィ と摘む毛鉤が色鮮やかだったりする。微笑ましい一瞬だ。
思ってもいない技法をいとも容易く行う人がいる。少年の動きにその原動を見た。

高校時代を北海道で過ごした。サッカーとスキー上達に熱情を傾けて過ごしていた。
フランスやオーストリア発信の新技術解説が眩しい写真と解説で紙面を占めた頃だ。
日本スキージャーナル誌では、雪国育ちの子供達のごく自然な両脚のスキー運びに
競技スキーへの応用を見出した解説が載っていた。新鮮な解説に驚かされたものだ。
道産子達は東京を通り越して世界から飛び込んで来る新情報に夢を膨らませていた。
「ヴェーレンテクニック」や「シェーレン状に開け!」と懐かしい語群を思い出す。
其れ等を日本の専門ジャーナル誌が、一味違った表現で、解説フォローしてくれた。
道産子達は押し寄せる新技術の解説を待ち焦がれ、友人と情報自慢話を競い合った。
歳月を過ごした今、釣人は枯木色の机上の色鉛筆を少年と共に興味深く眺めている。
釣人はふと、雪国育ちの子供達がごく自然に踏ん張るスキーの脚運びを思い出した。
色はまだごく微かだが、枯木色の上で、懐かしい旋律を育んでいる様に思えたのだ。

 

枯木色

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枯木色

漂い着いた流木の様な枯木色。釣人の心に落ち着く質感を生活内に取り込む。
少年時代に見た色や渓へ降りてふと見つけた嬉しい発見は何時までもついて来る。

自宅の部屋扉は、何時の間にか全扉共に枯木色となっている。川原で見た質感を
日常生活へと取り込んでみた。釣人と少年は、散歩道でも其れ等と出くわす度に、
拾い集めては記憶に留めている。やがて、其れ等は、生活の中に仲間入りして来る。
最近では、もうすっかり相棒も合点承認済みとなっている。釣人と少年は枯木色を
ベースにラブレター(毛鉤)の色彩を空想する。仕事机でバイス(毛鉤固定機)を
前にどう巻き上げようか?と思案する時、アイデアを授けてくれるベース色なのだ。
流れの色に近く、川底に映える色を思う。枯木色を眺めていると物語が見えて来る。
釣人と少年は、書き上げたラブレターを、何時も、そっと枯木色の上に添えて見る。

 

冬の粒

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冬の粒

変わらぬ景色にも季節の粒は感じられる。春はやはりまだもう少し向こうに在り。
青空に誘われて、少年と芸術橋を左岸へと抜けた。橋は錠だらけで重そうだった。

朝目覚めると雨音が聴こえた。冬の寝床にもう少し潜っていよう。釣人は昨日渡った
芸術橋を想っていた。左岸へ渡る際はなぜかこの橋と決めていたお気に入りの橋だ。
眺める上流、下流側どちらの景色も美しい橋だ。ミッテランが原型修復を守り通して
今に姿を残した事でも知られている。やがて、橋は「錠だらけ」になってしまった。
川底は投げ捨てられた鍵で金属の山だろう。その川底を、信じられない事に野生鮭が
毎年遡上している。釣人と少年は以前の美しい橋を想った。人の成す事の凄まじさ。
錠を付けて願い適うと言う思い込みは届くのかな?昨日の景色には冬の粒が在った。

 

高緯度寒気団

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高緯度寒気団

小春日和に時めいていると突然の寒気団に度肝を抜かれる。大陸の春はまだ遠い。
膨らみ始めたネコヤナギのつぼみも丸まっているだろう。冷たい濃霧が太陽を隠す。

大寒を越えて春へもう一歩近づいているが、本日は最低 -2℃、最高 3℃の予報だ。
釣人と少年は、「次は節分だネ」と春到来を待つが、高緯度の寒気団は気難し屋だ。
尾を曳きながら、長い冬がゆっくり退散して行く。もう少し上着の襟を立てて待つ。
欧州大陸高緯度の冬場の気温変化には、大きく二通りある. グッと堪える一日は、
澄み切った青空の朝か濃厚な冷霧かのどちらかで始まる。青空の乾燥した寒さは
日本育ちの二人は既に経験済みだが、朝の濃霧のまま一日太陽が現れない寒さは、
何回体験しても、大陸の重い寒さだ。二人はそんな日を「冷気浴」と呼び合っては
白息を吐きながら街へ出る。「太陽、顔出して!」と願う一日も、春を待つ一日だ。

 

春の招待状

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招待状

騙し騙しの暖冬が続き、雨、時々小春日和。春風や山鳥に渓流の雪解けを訊く。
気の早い釣人と少年へ大寒を前に春からの「招待状」。少々早過ぎないかい?

毛鉤釣りには四つの大きな要素がある。山積みの宿題と奮闘しながら、春を待とう。
「キャスティング」「タイイング」「フィッシング」+「オブザーベーション」。
これ等の探求に中間試験や期末試験、平均点や偏差値は存在しない。何よりの事に、
試験官は「野生の魚達」だ。不得意な分野が多少あっても、毎年、新春を迎える度に
「招待状」を届けてくれる。気の早い釣人と少年は、「オブザーベーション」から
スタートする。勿論、この招待状は、釣人と少年以外には見えぬものなのだが ... 。
オブザーベーション(観察)で問われるのは君の情熱と優しさだ。それだけでいい。
「余分なものを外して流れの前へいらっしゃい!」二人は招待状を読み直している。

 

新春の光と影

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新春 光と影

寒の入りから大寒を迎えようとしている。新春は冬の光と影が移り変わる季節だ。
釣りでは、相違する流れの隣接エリア(境界域)が出会いの好ポイントとなる。

素晴らしい出会いを求めて、出来るだけ大きな範疇で、起こり得る変化を読み取る。
時の流れの中で刻々と移り変わる光。野生魚の視線は、何を捉えているのだろう?
きっと、流れに留まりながら、捕食に関わる状況を、事前に察知して身構えている。
「ステージ」の現場は、性質の異なる隣接エリア(境界域)。ドラマは一瞬の変化を
合図に開演する。野生の機敏さに対応する、美しい程の身軽さと柔軟さが問われる。
推察と技力だけが頼りだ。釣人と少年は、幾度となく、光と影の境界域を空想した。
仕込めるものから準備する。釣人の経験と少年の感性を大切に包み込んでおきたい。

 

日溜り

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日溜り

日溜り

昨日( 1月 9日)、パリに激震が走り、特殊部隊の決行で立てこもりは終焉した。
犠牲者を悼む生暖かい朝を迎え、それでも太陽は冬を耐えるものへ日射しを届けた。

何が正しく、何が正しくない事なのか?何を信じて、何を信じてはいけないのか?
釣人と少年は理由の解らぬ暗い気持ちで朝を迎えた。「揶揄」する事がペンの力と
成り得る事は有るだろう。同時に、自由から相対する方向へと陥る事も、有り得る。
力持たない者が権力者へとペンの力を行使する場合、それは本質の清々しさを表す。
力持つ者が多数決で正義を決める時、法律を安全に潜り抜ける名分が出来上がる。
強者が弱者を庇(かば)おうとした時、初めて、恨みの連鎖から逃れ得る光が射す。
もう一度、もう一回、強者は弱者の気持ちを察して見る機会を得られるだろうか?
少年と釣人は冬を温める陽光を感じた。共存する皆が望んでいる当たり前の希望だ。
強者が主張する正義から少し距離を置き、ごく平凡に、弱者の存在を考えて見たい。

 

水中発色

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水中配色

春を迎えに新色が出航する。毛鉤の発色は、水中で封を切られるラブレター。
野生の心へ響く音色。鮮烈な動き、生命感。触れたくなる程の輝きや美しさ。

水中で発色を生かすにはどんな配色がいいのだろう?野生魚の心に響く音色は?
恋文であっても、媚びへつらう毛鉤は御免と合点している。其れが二人の合言葉。
恋心をストレートに、鮮烈に伝えたい。水に触れると同時に 『泳ぎ出すフライ』。
 Wet Fly の場合は、水族館の生物の如く、水中で己の発色を鮮明に観察者へ晒す。
其処が 水表という反射面を通して姿を晒す Dry Fly との明確な違いだ。野生心を
捉える為の道標は何処に在るのだろう?釣人と少年は、一歩づつ、探求を進める。

『雲虎色(うんこいろ)と、俗におかしがっている色がある。あれに他の色を取り
合わせよく置こうとするのは面倒である。雲虎色の濃淡ですれば一応配色は無難に
いくが、それではあまり智恵(ちえ)がない。そういうとき雲虎色と他の色との間
へ、白をほそく入れるとさしものあの色もおさまりやすくなる。この場合の白は、
むずかしい易(やさ)しいを通りこして、配色難を救う色である。 配色/ 幸田 文』

釣人は幸田 文さんの文面から拾った数行を少年へ語った。白に救われる事が在る。
きもの配色へ語った彼女の言葉が、釣人に灯をくれた。『白をほそく入れる』。
極細の一本か? 二本。細い程良いだろう。釣人の頭にマリード・シース(羽、翼)
の際の白色グース・ショルダー(鳥肩羽根)細いファイバーが浮かんだ。使える!
配色に水中発色のヒントを頂いた。少年は聞き入りながら、同じ事を考えていた。

派手な色彩は周囲を惹き付ける積極さを持っているが、それが過ぎれば下品となる。
地味なフライは容易に作れるが、それだけでは艶が無くなってしまう。/沢田 賢一郎

色を拒む白色の使い方。『白をほそく入れる』。春のブルターニュへ!巻き上げる。
毛鉤を知らない幸田 文さんのきもの配色から、釣人と少年は恋文の書き方を習う。

 

起動 2015

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起動

新春を迎えた街、少年と歩き、一日早くスタート開始。時間を丁寧に使いたい。
仕事始めに、独学教本に再度目を通す。何回読み返しても歳と共に発見が在る。

独学探求を支えてくれる数冊の教本に恵まれた。何冊もの本が素通りして行く中で、
カバーを替えた愛蔵教本だ。流行機敏を捕らえる奇知に富んでいないが、読み返し、
何時も飽きのない発見を与えてくれる数冊だ。もう、指先や体に染み込んでいると
思っていた筈の感触や手順にも、新春を機会に、飛ばさずに再度熟読して見ると
奥の深さに ドキッ とさせられる確かな自覚に出会う。釣人は、そっと目を閉じて
その感覚に浸った。釣人と少年が腕自慢の種明かし。一日早く、丁寧に起動開始。

 

夢見三昧

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夢見三昧

夢見三昧

夢見三昧

夢の新年大作戦は大丈夫かい?大きな羊と書いて「美しい」となるそうだ。
君が書いたラブレター、群れ一番の「素敵な野生」へ届けよう。新春の祈願。

群れ中に輝く一匹がいる様に、日常生活の中にもときめきは潜んでいるものだ。
流れの傍にいる時も、遥か遠く想う時も、何時も、カッコ良い釣人で在りたい。
常に心の隅に夢の作戦を秘めていたいものだ。釣人は少年に新年「初夢」を聞く。
月日は光陰矢の如し。いつか巡り合える美しい魚へ毛鉤を届けたい。夢に見た
野生のきらめきへ、少年と釣人は独学探求を続けながらラブレターを書き上げる。
教本は朝方の夢想に在り。二人はいつか適う流れを思いながら、新春夢見三昧。
「スタート ユア エンジン!」 釣人と少年は、羊の群れへ向かって歩き始めた。

 

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