夏の終り

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夏の終り

樹々の葉が乾燥し、角質した短冊の様にガサガサと付いている。夏の終りだ。
今年の夏が過ぎようとしている。最近数年、「冷夏」だったと同じ事を言っている。

猛暑を経過すると八月には夏枯れが始まり、九月は何時の間にか?落葉の季節へと
移り変わって行くのが記憶にある夏の姿だった。今夏の様に特別暑い日も訪れず、
過ぎてしまえば「冷夏」だったと言われる夏は、枯れずに乾燥が進んで角質化した
夏の葉が多数樹々に残る。中途半端な枯葉色だ。やはり地球が変化して来たのかな?
季節は小雨を伴う秋風が吹き始めている。学生時代に聞いた「September rain 」が
釣人の脳裏を過ぎった。川閉め前のセーヌ上流で、今夏と思い出の時を過ごしたい。

 

古(いにしえ)の整理

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古(いにしえ)の整理

夏のまとめは整理仕事。以前に展示会で購入した中古毛鉤箱の中身整理。
個人的に旧型良品が好きだ。予算内で納まる気のイイ良品と付き合いたい。

『レアもの』と呼ばれる品々には其れなりの値段が付けられているが、観賞に
留める。まだまだこれから付き合える角落ちした旧型良品こそ肌が合う。以前
から展示会の度に、少しずつ集まってしまう中古毛鉤箱を開く。 ... と、パッと、
無数の毛鉤が飛び出してくる。このオマケつきが楽しみでもある。実釣には
自巻の毛鉤しか使わないが、先達が思いを馳せて巻き上げた毛鉤には其れなりの
情熱が巻込められているものだ。時折覗いては夢の果てを勉強させて貰っている。
時代柄、鉤先のモドリ(バーブ)は付いたままだ。その時代には、釣人も少なく、
沢山の魚が元気に泳いでいたのだろう。釣りとしての機能と美しさに集中出来た
時代だったと思われる。形としては、バーブが残されていた方が虫らしさを留め
ると個人的には考えるが、現状や魚の傷口を考えると、バーブレス(モドリなし)
の毛鉤が意味を持って来る。「ハックルが長いネ」少年は目立った外観から古の
ラブレターを観察する。「カッコ良い表現方法はしかと頂こう!」釣人と少年は
古き良き時代に想いを馳せた。『最も古いものは、最も新しいものへと繋がる』。
時間に追われず丁寧に巻き上げられた一巻一鉤は、今も十分に魚の心を揺さぶる。

 

窓際の背伸び

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窓際の背伸び

夏仕事の目処は付いたが、やはり体が硬くなってしまっている。体を泳がせよう。
窓際で出来る限りの背伸びをした。同じ筋肉を使っていたので、ストレッチ!!

相棒曰く、「目が疲れたら、散歩道で遠くの木の葉っぱを一枚一枚数えるのヨ」と
の事。早速、少年へそのまま知ったかぶりをした。釣人流視力回復法はカメレオン。
目の玉をギョロギョロと動かす。散歩時の信号待ちでやっていたら、向かいの人に
変な顔つきで凝視された。それ以来、相棒の安全な方法に変更している。思うに、
使っていない筋肉を固まらない様に動かしてやる事が肝心なのだろう。窓際ガラス
に躰を伸ばして擦りつける。猫君、君にもちょっとしたストレッチが必要なのかい?

 

虫達の離宮

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虫達の離宮

「緑の散歩道」と呼ばれる片隅に虫達専用宿が設けられている。本来は越冬用だ。
夏は宿閉めかナ?ひっそりと佇んでいる。虫達に高級避暑地の習慣はなさそうだ。

夏燃える原色の砂浜を目指していた頃、北イタリア三大湖の畔に高級避暑地存りと
教わった。コモ、マジョーレ、ガルダと聞けば、マストリアーニの甘いスマイルや
黒い瞳の女性やら、やはり、まばゆいばかり高級感が漂って来る。若さの背伸びで
何とか「隠れ宿」を見出したのは前職フリーランスに脂がのった三十代の頃だった。
コモ湖の宿はゴッドファーザーが現われそうな凄みが在り、マジョーレ湖の宿は
朝起きてテラスに出ると小舟にイタリア人漁師が網を手繰っているのが手に取る様に
見える。網の小魚がキラキラと湖水に輝くのを見ながら朝食を戴ける。高級避暑地を
利用する人達は 6月後半に海辺を終え、 8月には涼しい北イタリアの湖畔で過ごす
人達らしい。虫達は夏をどこで過ごしているのだろう?きっと、真っ黒に違いない。

 

夏の恋人

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夏の恋人

時折照り返す夏の陽がなごりを惜しんでいる。恋人達は過ごした時を語り合う。
『人生は一束のブーケ』 シャガールの小粋な言葉が夏の思い出を香らせている。

紫外線の脅威をどんなに語り尽くしても、欧州高緯度ではやはり夏は小麦色だろう。
昔からの習慣にあまり変化をつけたがらないフランスの気質だが、あげるとすると、
子供達にサングラスを掛けさせる様になった事位だろうか?バカンス地から戻った
街人は時を過ごしゆっくり焼き上げた小麦色で秋を迎える。恋人達はひと夏の日々を
語り合う。高校時代に観たフランス映画も、夏はバカンス地での恋物語が多かった。
往年の老夫婦が語るには 「昔の夏は皆、ひと月位、海の砂浜で過ごしたものさ」と
目を細める。夏の日は「一束のブーケ」として、其の人の人生と共に在るのだろう。

 

秋の気配

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秋の気配

気付かない程少しづつ、北国の夏が去って行く。陽射しと共に影が背伸びを始める。
目覚めると窓の明るさに変化が現われ始めた。夕食時間には少し暗くなっている。

夏仕事に目処が見え始め、釣人は心に幸せを感じた。少年は毛鉤を巻き溜めた。
朝コーヒーを飲みながら今日の天気を覗く。本日の最低 11℃ - 最高 19℃と表示。
散歩時に日蔭を歩いていたが、そろそろ日の光が恋しくなっている。高緯度の北国は
秋を迎える準備中だ。バカンス地で日焼けした余熱を膚に残しながら、皆秋の仕事へ
戻っている。夏をパリで過ごした釣人と少年は「ちょっと出かけたいネ」と奮闘中。
独学探究を続けているとなかなか儘ならない時もある。もう少し余裕をリザーブして
落ち着く秋を迎えたい。街は影が背伸びを始め、空が少しづつ高くなってきている。

 

緑の中から

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緑の中へ

誕生日は五月五日。めでたい日なのだが、 1回分プレゼントを損して来た。
「誕生石エメラルド」がラッキー色。成長とともに「野火色」が好きになった。

毛鉤釣りを始めた頃、緑や苔色が「安全色」と教わった。確かに多くの生き物が
緑の中に身を隠す。隠れようとするモノの外套には自然の緑が混じっている事を
学んだ。自らの安全色が自然の保護色と繋がっている。野生魚に捕食されている
水生昆虫はおのずと川底や石、水藻の色へと近づいて行く。いつか、釣人の目も
保護色の中に毛鉤を見出して行く。そんなある日、突然「サーモン・フライ」と
出会う。網膜に焼き付く様な色彩やら妖艶なくびれ、悩ましい揺れるまなざし ... 。
戸惑う様な「コントラスト」の妙と出会う。川に棲む鱒と降海性を有する鮭との
違いなのだろうか?遡上の際に鮭は餌を食べない事が多くなる性質が知られて、
先達は鮭鉤に自然の保護色とかけ離れた色を使う知恵を身に付けた。餌となる
自然の生き物ではなく、「情緒的」に噛み付かねばすまない誘惑的な色彩や動き
を毛鉤に巻き込み始めた。釣人と少年も、自分の色を探し始めようとしている。

 

森の水

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森の水

街にいながら「森の水」を頂く。ちょっと贅沢、やっぱし贅沢な緑の香りがする。
小道を下って沢へ降りる。あの橋へ着いたら一服いれよう。清廉な水が待っている。

散歩は上々。気持良い汗も掻くには掻いているが、今は、「街の水」を飲んでいる。
流れに沿って歩いている時は水を飲む事も忘れてしまう。街にいる時は勝手ながら
水の味に注文をつける自分がいる。一杯の美味しい水に救いを求めているのか ... 。
微かにミントの残り香が在り、雪解け水の様なカチワリ氷の味 。木の香りなのだ。
『大河の一滴』を器に受けて頂く。「流れに棲む魚も水を飲むのだろうか?」少年の
質問に考え込まされた。体内に水分を持つ命なら、きっと清廉な水を求めるだろう。

 

少年の日記帳

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少年の日記

少年がポケットを膨らませてやって来た。仕事机を片付けてお茶にしよう。
時折見せてくれる日記帳には、オレンジ色の「ラブレター」が挟まっている。

最近少年はポケットにいつも毛鉤箱を忍ばせてる。上出来を巻き上げた時は
息弾ませてやってくる。食い気が勝る時期だろうに、食を節約してでも材料の
収拾に我を忘れて動き廻っている様子だ。ペットショップの小鳥コーナーでも
落ち羽根が拾えるチェックポイントと聞くと、熱情ぶりが伝わる。背丈の割に
巻く毛鉤は大きい。「Big bait = Big fish」 に夢を託している様だ。いつの日か
金星をかけることだろう。プレゼントした白紙の日記帳には、裏面に小さな刻印
「RW/MADE IN ENGLAND」と押されてある。少年はまだ見ぬ恋心と奮闘中だ。

 

夏の成果

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夏の成果

夏休みもそろそろ後半へ Uターン。宿題は大丈夫かい? 仕事部屋の窓を開いた。
キツツキの響きや森の匂い、近づいてくる沢の音を風が運んできてくれる。

手を休めて窓を開ける。少年も屋根裏部屋で毛鉤を巻いている頃だろう。夏仕事の
大まかな骨組みが見えて来た。さぁ、この骨格にひと夏の成果を整理整頓して行く。
溢れていた物がひとつひとつ納まって行くと、窓の風が心地良かった。此処からが
いよいよの勝負処だろう。ふだん手が付かなかった探究の成果を、丁寧に修めよう。
少年は巻き進み、釣人は整理に励んでいる。少年の毛鉤は豊かになり、釣人の夏は
窓の風と共に過ぎようとしてる。一瞬の夏。この夏にもうひとつ、何かを残したい。

 

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