セーヌ上流 「発見」

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発見

発見

発見

発見

発見

発見

探究過程での「発見」とは、未曾有の「大発見」ばかりが全てではない。
釣宿の働き者おじさんが何時もの泊まり部屋の壁を新しい色に塗り替えた。

釣人は「現役」・「退役」を語る時、「変化し続ける事」の大切さを力説する。
変化して行く自分を放棄してしまったら、其の時から「退役」が駈足で訪れる。
釣人や職人にとって変化とは、一体どう言う状況なのだろうか?少年の若き
思案に救いを求めた処、「気まぐれかナぁ?」との深い答に驚かされてしまった。
初日気付かなかったが、お気に入り部屋の壁色が塗り変わっていた。おじさんに
聞いた処、頷いて頭を掻いている。おじさんもまだまだ「現役」真っ只中だ。
釣人は、増水した流れに、思ってもいなかった毛鉤をドロッパーに結んで見た。
切株の弛む流れに差し掛かった時、不自然なアタリと共にラインが絞り込まれ、
魚信が伝わって来た。普段では余り使わないサイズの大鉤を鱒が咥えていた事、
リーダーに結ばれた釣人確信のリードフライではなく、ドロッパーに結ばれた
大毛鉤に来た事。魚のサイズは自慢に至らない一匹だったが、今回三人一番の
良型であった事。日常的な習慣からのちょっとした「気まぐれ」でも、時を得て
まったく新しい扉を開いてくれる事がある。経験に縛られず、直感に委ねて見る
悪戯な「気まぐれ」。釣人と少年は、其れを「勇気」と言う言葉に置き換えた。
実際に起こった偶然。自らの殻を脱ぎ捨て、釣人はおぼろげに毛鉤を巻き直す。
釣人と少年は、昨日とは違う新しい流れに、妖しい魅惑をまた一つ教えられた。


セーヌ上流 「水草」

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水草



水草

水草

水草

水草

水草

流れに揉まれる水草には、意外としっかりした根が在るのだろう。
増水や濁流に揺らぎ、夏の渇水をも凌いでいる。デラシネから水草へ。

水に棲む魚には水の縄張りが、陸に棲む釣人には陸の縄張りが在るのだろう。
互いを己の領域へ引き込みながら、身の安全や心の安泰を保ち、自然界の掟に
見守られての共生を続けている。弱者には守る知恵を、強者には多少の制約が
自然から施される。流れ続ける川の季節が変わらぬ日常の如く繰り返される時、
釣人は感謝の念で満たされる。扉の隙間から明るい光が射し込み、気持ち良く
川風が零れて来る。技を研く釣りから肩の力が抜ける瞬間だ。根なし草は流れに
留まる水草を見届けるだろう。
相棒は野ばらの蕾にひと時の休息を嗅ぎとった。


セーヌ上流 「少年のこころ」

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少年のこころ

少年のこころ

少年のこころ

少年のこころ

少年のこころ

少年のこころ


少年のこころ

少年の釣ズボンお尻には小さな鍵裂きが在る。バラ線(有刺鉄線)の傷跡だ。
跨ぎ木の所在も知らず、精一杯だった頃。今は、相棒の手を携えて案内する。

少年は一晩で見違える男に変わって行く日を迎えようとしていた。川辺添いで
流れの音を聞きながら楽しそうに遊んでいた日から、最近時々、じっと黙って
流れを見詰めている姿を見かける。セーヌ上流 V村でウエーダー(胸丈防水着)
の使用が川の環境保護で禁止され、キュイサード(股上長靴)以下が義務付け
られた時、真っ先にふくれたのが少年であった。流れの中に入る事に男を感じ
ていた時期だろう。昨日の少年は、不要に流れを濁す事すら躊躇う男の釣人へ
変わっている。以前の毛鉤箱にはカゲロウばかりが詰まっていた。新作毛鉤は
トビケラが増え始め、最近は何時の間にか?すっかり釣人好みのウェット鉤で
ドロッパーをも駆使し始めた。橋脇に泊まったトラックに見入っていた少年が
竿置いて駆け寄って行った。稚魚の放流作業が始まったらしい。今年生まれの
4ヶ月鱒子が、漁協のおじさんたちによりセーヌへ放されている。初めて見る
幼鱒の放流作業だ。「釣人ですが、見ていいですか?」少年は頬染めて訊ねた。
釣人は行こうとする相棒を抑えた。今日は少年が変わって行く日かも知れない。


 

セーヌ上流 「初夏」

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初夏

初夏

初夏

初夏

初夏

初夏

北国の短い夏がやっと始まろうとしていた。今年もまた此処へやって来た。
太陽の残照は少しずつ大地と流れを温め、もう南国へ旅立とうとしている。

毎年同じ季節を迎え、そして見送っている。少年と釣人は相棒の釣姿を見守る。
二人共決して毛鉤釣り技術を教えようとはしていない。その方が面白いだろう。
釣人が以前に語った言葉を少年は覚えている。相棒は「魚は必ず釣れる」と
信じ込んでいる。それが一番面白い事。最近、釣人と少年は時々顔見合わせる。
相棒の釣姿に互いの釣癖を発見してしまう時が増えたからだ。積日の探究成果を
しかと吸収されてしまった感じだ。釣人と少年は水に映った自画像を観ていた。


セーヌ上流 「風の中へ」

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風の中へ

風の中へ

風の中へ

風の中へ

風の中へ

風の中へ

朝のひと流しを終え、遅い朝食が始まる。同宿のカップルが風の中へ出発した。
オランダから「怪力号・風の旅」をしているらしい。皆で手を振って見送る。

少年はバイク着の下にプロテクター着込んだ大柄の女性ライダーに目を丸くした。
釣人は彼女を支える男ライダーの風貌に魅入る。この人がいれば、大丈夫だろう。
オランダから風に溶け込み、大地を二人で走る中堅ライダーの出発を皆で見送る。
早起き少年と釣人は朝食前のひと流しを終え、相棒はモーツアルトを聞きながら
寝床で休息読書と寝坊する。三人が遅い朝食をとっていた時、同宿したオランダ人
ライダーは朝風の中へ出発した。風の日こそ、シルクラインを使う釣りが面白い。
ラインは飛ばすのではなく、溶け込ませる。釣人は少年にもう一度おさらいする。
「向かい風は後ろを高く・前を低く」「追い風は後ろを低く・前を高く」が基本。
丁寧に投げれば、風は其れを溶け込ましてくれる。相棒は愛用山女魚ラインだろう。
風を切りたい時はカーボン・グラファイト竿、キャスティング修業にはグラス竿が
面白い。少年は 8ft4 #5、相棒 8ft4 #4、共にカーボン・グラファイト竿を使う。
釣人は 7ft10 #4 グラス竿で日中を振って見る。ライダーも今頃は風の中だろう。



セーヌ上流 「叫び」

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叫び

叫び

叫び

叫び

叫び

夏至の前日、黒雲と共に突然のつむじ風と豪雨が木々を裂き倒して行った。
雨や風が叫び、木々は悲鳴をあげた。川は全てを受け止めながら流れ続ける。

風と雨がフランス全土を大暴れした。自然は何かを伝えようとするかの如く、
激しさを露わにした。木々は枝や幹を犠牲にしながら、自らの命を守ろうと
懸命だが、力尽きたものから悲鳴と共に生涯を閉じて行った。当日の流れは
一体どんな叫びを聞いたのだろうか?川底に石灰石を多分に含む湧水の多い
流れは豪雨による増水や濁りからの回復が早い。痛々しいむき出しの傷跡を
癒す様に、まだ水量を増してはいるが、穏やかさを保ちながら耐えて流れる。
少年と相棒は釣人と共に、流れの音に残る様々な叫び声を心中に聞き取った。


セーヌ上流 夏至 2013

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夏至 2013

夏至 2013

夏至 2013

セーヌ上流 夏至 2013

セーヌ上流 夏至 2013

異常気象の黒雲、暴雨、つむじ風、冷夏。今夏は何百年ぶりの .. が続いている。
少年、相棒、釣人の三人組は夏至をセーヌ上流で過ごそうと奮闘努力で出発した。

出発前日、パリに突然の黒雲と豪雨が暴れまくった。狂った様に豪雨と晴天を
繰り返し、アッと言う間に高速道路は川の様な冠水に見舞われた。オートバイ
は走行不能となり流れの前で黒山となった。何台もの車が流れの中で水没して
止まっていた。原因を考える以上に、余りに激しい豪雨であった事を物語った。
セーヌ上流も大増水だろう。釣人は其の川も見ておきたかった。少年と相棒は
初めて見る流れの一面を知るだろう。道中はナビ任せの赤絨毯走行にて楽して
走らせて貰った。昨日迄の異常気象は何処吹く風の如し、ピンクのけし花畑が
一番長い夏日を三人に語りかけてくれる。セーヌ上流は案の定、大増水だった。
民宿のおばさんの話では到着 1時間前まで停電が続いていたそうだ。村外れの
数件は屋根を吹き飛ばされ、壁ごと倒壊した家屋も多いそうだ。荷物を部屋に
上げ、スーパーマーケットに食料調達に行く。途中、川を覗き、村に起こった
つむじ風の凄さを目のあたりにした。消防車、村人が集まって倒壊した家屋や
屋根や瓦を助け合いで臨時修復作業に追われていた。釣人にも初めての体験だ。

 

ペルー 2013 「太陽の子へ捧ぐ」

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太陽の子

太陽の子

太陽の子

太陽の子

太陽の子 

太陽の子

太陽の子

太陽の子

太陽の子

太陽の子

太陽の子

太陽の子

太陽の子

太陽の子

太陽の子

太陽の子

太陽の子

別れの時が来た。君に励まされ、旅を続けられたよ。さようなら、ありがとう。
釣人は、過ごした短い時間と輝きを胸奥のポケットに大切に仕舞い込んだ。

何時か?一緒に流れの前で歌える日があるだろうか?シェリダン・アンダーソンの
好きな、1900年代初期キャリフォルニア・ピット・リバー・インディアンと共に
時を過ごした詩人ジェイム・ドゥ・アングロ から引かせて頂く。彼はカウボーイ、
人類学者、医者、そして詩人で生きた。釣人は、君と歌う流れの時を思い浮かべた。


 狐はたったひとりで暮らしていた。
 大地はなかった。そこいらじゅうが水びたしだった。

 「どうすりゃいいんだろう」狐はひとり言(ご)ちした。 
 狐は、答えをさがすかわりに、歌い始めた。

 「ぼくは誰かに会いたいんだ」
 彼は空に向かって歌った。そしたら、コヨーテに会った。

 「誰かに会いにいこうかと思ってたんだ」狐は言った。
 「どこへいくんだい?」コヨーテが聞いた。

 「ぼくは誰かをさがそうとして、そこいらじゅうをほっつき歩いたんだ。
 ぼくはここで、ちょつと悩んでたんだ」

 「そうだったの。ふたりで一緒にいったほうがやっぱりいいよね ....... 」
 「そうとも、でも、どうしようか?」
 「わかんないよ」

 「わかった!世界をつくってみようよ」
 「でも、それからどうすればいいんだろうか」コヨーテが聞いた。

 「歌うんだよ!」
 狐が言った。   

 詩人 / Jaime de Angulo 

釣人は少年の屋根裏部屋で2013年ペルー二人山旅のお土産話を語り終えた。
少年の毛鉤箱にアンデス色の毛鉤が一つ増えていた。少年の巻いた毛鉤だった。
 


 
 

リマ到着 (Last Night Peru 2013)

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リマ

リマ

リマ

リマ

リマ

リマ


リマ

ペルー 2013

ペルー 2013

8:30am Ica出発 - 13:00 Lima到着。二人山旅 Peru 2013 最終日を迎えた。
旅が終わった。明日、パリへ戻る。到着時に見つけておいた宿で旅を振り返える。

イカの宿で熟睡したお蔭で体が軽かった。何より安全第一を目標に過ごした旅が
無事経過して、リマへ戻る日を迎えられた事が嬉しい。イカを朝出発したバスは
途中砂漠地帯を走り続け、午後にリマのバスターミナルへ到着。砂漠に囲まれた
リマの立地環境が理解出来た。南極から北上する寒流のお蔭で、熱帯砂漠化から
救われた人口約790万人を擁するペルーの首都。さすがに山旅を続けていたので、
到着バスターミナルの大きさに圧倒された。到着時の旅始めに、散策する時間が
持てたので街の様子は掴んでいた。見つけておいた宿に向かう。最初の計画では
安全時間確保として二泊を考えていたが、「風が教えてくれた村」チバイ滞在を
延ばしてリマ最終日を一泊に変更した。「イカでワインを飲み忘れたね」などと
思い返しながら、釣人と相棒はふと、まだペルーの海産物を試食していない事に
気付いた。最終日はリマで海産レストランへ!宿で手頃なレストランを推薦して
貰った。この宿は到着日の散策時に見つけておいた二人好みの宿だった。たぶん
美味しいレストランを教えて貰えるものと期待。リマは確かに発展途上都市だが、
街のモダン化を目指し、地区によっては、欧州の一般的都市と殆ど変らない顔を
持っている。多少気になる点は、外資系ファーストフード店や有名スポーツ店が
ガラス張りの超モダン建築として街の顔を作っている点だろう。ペルーの個性が
尊重される街造りが起こって来る日を待って見たい。釣人には、最終日の食後に
行きたい処が残っていた。この山旅が無事に終了出来たら、この店を訪れようと
釣人は思っていた。今回の旅にはセキュリティー面での様々な情報が飛び交い、
やや過剰と思われる準備をして来た。ガードマン兼荷物運びを担当する釣人は、
相棒にも内緒の非常時脱出用の隠し金を用意していた。現地で旅を始めて見ると
日進月歩でセキュリティーは改善されていた。(注意は常に必要ではあるが .. )。
二人は幸運な事に危ない場面に遭遇する事なく、様々な場所を歩き回れる旅が
出来た。「この旅が無事に終えれたら .. 」釣人は此処へ戻ってこようと決めた。
「アンデスの黄金」とも言われる野生希少種ビクーニャ、其の保護が問われて
インカ時代からの追い込み猟法「チャク」が復活した。射止めて毛を獲る密漁が
増えたが、ペルー政府が保護策を取り、認可番号付きでのみ二年一度の刈込みを
許したビクーニャ商品が其処に在った。昨年アルゼンチン南アンデスのサルタで
見かけたのが初めてであったが、其の時は、余りにも圧倒されて夢また夢だった。
風に任せて見ようと釣人は思った。頂いたビクーニャとの縁を、大切にしたい。
相棒はビクーニャ・ショールを気に入ってくれた。釣人は草原のきらめきを思った。

 

イカ宿泊

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イカ

イカ

イカ

イカは砂漠に取り囲まれたワイン産地。リマまでの一泊をこの町で休む。
山の景色を見ながら移動して来た。イカまでの砂漠景色が新鮮だった。

夜行寝台バスは時として極端な夜の冷え込みになる為、多少余分に着込んで
乗車する事になる。山間部の出発から到着が熱帯砂漠に近い町の場合では、
初めて逆に着衣による暑過ぎを体験した。釣人と相棒は移動疲労と言うより
暑さに降参した。窓の景色はどんどん砂漠へ変わって行き、気温は上昇した。
釣人と相棒は到着地イカで冷たいコーラを飲もうと暑さを凌いだ。回教圏や
砂漠を旅すると日頃余り口にしない冷たいコーラの味を思い出す。乾燥した
風土はコーラ味を思い出させる様だ。イカのバスターミナル到着。宿探しに
町中心のアルマス広場へ歩く。旅経験で広場の脇にはリゾナーブルな旅宿が
在ると感じていた。途中、マンゴ、パパイヤ、ライム、冷たいコーラを購入。
一夜の宿が決まり、早速シャワーを浴びて薄着に替えた。果物で仮食を終え、
二人共爆睡した。道の人声で目覚めると外は夜だった。窓にカジノのネオン
が映っていた。窓を開けて外の空気を入れる。窓下の道にはカジノ客を待つ
小型タクシーが列を作り、運転手が集まって自前トランプで賭け事に耽って
いた。海岸に沿ったパンアメリカン・ハイウェイと呼ばれる弾丸高速道路が
開かれて、南北の移動は目を見張る様に便利になった。そして、どの町にも
外国人旅行者が増えた。近くに保養リゾートを持つこの町も大きく変わった。
釣人は昨日迄過ごした山村の風を思っていた。此の町を離れる際、町外れに
分別ゴミ缶が目に映った。此処を自分達の町へ変えて行こうとする人がいる。



 

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