夏の早朝

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夏の早朝 

夏の早朝

夏の早朝

夏の早朝

川の早朝

早朝はどんな毛鉤が良いのだろう?夜明けの湿り気を吸い込んだ毛鉤だろうか?
釣人と少年は朝陽に輝く毛鉤を摘まみ出した。夜明けの明るさで結べるサイズだ。

二人は朝の光を浴びながら毛鉤箱を覗きこんだ。きっと出番を待ち望んだ毛鉤が
輝いている筈だ。「其れを感じ、其れを信じれば良い」。朝の光に毛鉤は生き生きと
泳いでくれるだろう。魚は昨晩の餐にまだ酔っているだろうか?早朝の新鮮な味覚
に期待しているだろうか?全ては昨夜の闇に繋っている。十分に夜を休み、活性を
取り戻しているなら中サイズの毛鉤でスタート出来る。日没を沈黙で過ごしたなら、
朝方もまだご機嫌斜めかも知れない。解らない時は、目覚めたばかりの指で結べる
小さ目の毛鉤で様子を見る。大切な事は朝の光に輝いてくれる毛鉤を感じ取る事だ。
少年は新作毛鉤を朝陽に透かし、釣人は眼鏡を磨き直して一番バッターを選び出す。


グッドモーニング 朝靄

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朝靄

朝靄

朝靄

朝靄

朝靄

朝靄

日中気温が上がる季節に入ると、朝方や夕方の時間帯の釣りが中心となる。
早起きは新鮮な川辺の顔を見せてくれる。朝一番の冷たい空気が美味しい。

昨晩、釣人と少年は遅くまで存分に竿を振り部屋に戻った。相棒は既に夢の中、
釣人と少年もシャワーを浴びて爆睡に落ちた。今朝は、釣人が一番に目覚めて
まだ暗い部屋で準備を開始すると少年も慌てて飛び起きて来た。少年は準備が
早くなった。二人はまだ熟睡中の相棒を残し、朝食前の抜け駆けに川へ向かう。
水面に靄は出ていなかったが、川辺の草原一面には早朝の靄が浮かんでいる。
今日も熱くなるだろう。釣人と少年は朝のまだ湿った冷たい空気を吸い込んだ。
二人の糸先には毛鉤が結ばれている。釣り気が、体に充満しているのを感じた。


夏の夕方

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夏の夕方 

夏の夕方

夏の夕方

夏の夕方

夏の夕方

何時もなら早朝出発だが、自宅で昼食を済ませて 230km程を南東へ走った。
一仕事終えての出発だったが、日没の遅い夏の夕方を釣れるタイミングだろう。

寒い夏が続いたが、急に暑くなると出発日の正午は 34℃迄に跳ね上がった。
車クラーを久しぶりに ON。窓を閉めて走り続け、釣宿に着くと足腰が痛かった。
正午迄に仕事を終え、釣具を車に詰め込み、 V村へ辿り着いた。荷物を上げて
早速川を見に行く。梅花藻の白い小花の傷みが気になったが、水量は先週の
雨のお蔭で夏にしては良好の範囲だ。近場で早めの夕食を済ませて宿に戻る。
相棒は今朝の仕事でダウン。釣人と少年は夏の夕方を釣る。久しぶりのセーヌに
足を運んだ。お気に入りの釣宿は、橋のすぐ袂に在る。着替えて釣り歩くのには
最高の条件だ。どんなに遅くなっても、釣宿の灯を目印に歩いて帰れる環境には
何時もながら感謝。釣人と少年は川に吸い込まれ、相棒は部屋のベッドで休憩。
川音が三人の心を満たしてくれている。部屋にいても川辺にいても、川は優しい。





セーヌの夏

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セーヌの夏

セーヌの夏 

夏の太陽が顔を出す。パリは久しぶりに本来の季節を取り戻して来た。
水量は大丈夫だろうか?釣人と少年、相棒の三人組はセーヌ上流 V村にやって来た。

この処、少年が釣人の家に日参している。パリ東隣のバンセンヌ森グラベル鱒池に
通って竿を振っているらしい。バスを使い、森を 30分程歩くと毛鉤で釣れる鱒池に
辿り付けるが、雨に降られるとなかなかキビシイ森歩きを強いられる。湧き水豊富な
鱒池であるが、さすがに夏を迎えると水温が上がり、日中の毛鉤釣りは難しくなる。
車で行くと早朝、日没釣りも15分程で適うが、バスと歩きでは辛抱の通いとなる。
釣人も車を持つ前は同じ道のりを歩いたので、少年の苦労が手に取る様に解った。
「よし!仕事を一服。セーヌ上流へ出掛けよう!」「ヨシッ!」少年の迅速な反応。
夏川は水量が心配だが案ずるより出掛けて見よう。急遽、正午からの出発となった。


夏休み

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夏休み 

7月 14日パリ祭が終わると、街は夏休みモードに切り替わって来る。
パリっ子達はバカンスへ夢中となり、街はのんびりとした顔を見せてくれる。

久しぶりに少年と静かになった街を歩いた。訪れる旅行者の数は増えているが、
やはり夏休みのパリは街を歩く人も少なくなり静かだ。乾いた風が気持ちの良い
木陰道をゆっくりと歩いた。少年の胸ポケットが膨らんでいる。留守中に巻溜めた
新作毛鉤を持参している様子だ。近くのカフェで休憩して、今日はゆっくり少年の
話を聞いてやろう。街人の顔も何時もよりのんびりと見える。いよいよの夏休みだ。


南アンデスへ捧ぐ 「蒙古斑・青い印」

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アンデスの子 

アンデスの子

アンデスの子

アンデスの子

アンデスの子

アンデスの子

アンデスの子

素晴らしい毎日を過ごさせて貰った。別れの挨拶もせず、その村を振り返った。
仲間である「青い印」、輝いた瞳を忘れない。助けを求める声が聞こえたら ... 。

南アンデスの山村を回り、ブエノスアイレスからパリへ戻る飛行機へ乗った。
ひとつの旅が終わり、インディオの山村での出会いが心に積もり重なっていた。
学生時代に聞いた歌、グラシェラ スサーナ/アドロ(←左クリック)を捧げたい。
(YouTube 「-」 を左クリックして最小化すると写真を見ながら曲を聴けます。)
この歌を聴く度に、釣人と相棒は君達の顔を思い出すだろう。心からありがとう!

 アドロ 歌詞日本語訳 Adoro
 作曲者 アルマンド マンサネーロ Armando Manzanero

 Adoro la calle en que nos vimos,  
 la noche cuando nos conocimos,
 Adoro las cosas que me dices,
 nuestros ratos felices
 los adoro, vida mia

 [マンサネーロの歌では省略]
 Adoro la forma en que sonries,
 el modo en que a veces me rines,
 adoro la seda de tus manos,
 los besos que nos damos,
 los adoro, vida mia.

 Y me muero por tenerte junto a mi,
 cerca, muy cerca de mi,
 no separarme de ti;
 Y es que eres mi existencia, mi sentir,
 eres mi luna, eres mi sol,
 eres mi noche de amor.

 Adoro el brillo de tus ojos,
 lo dulce que hay en tus labios rojos,
 adoro la forma en que suspiras
 y hasta cuando caminas
 yo te adoro vida mia;
 yo te adoro, vida mia
 yo te adoro.


 私は熱愛する。私たちが出会った通りを、
 私たちが知り合った夜を。
 私は熱愛する。あなたが私に言うことを、
 私たちの幸福な短い時間を。
 私はそれらを熱愛する。私のいとしい人。

 [マンサネーロの歌では省略]
 私は熱愛する。あなたがほほえむときの姿を、
 私を、ときどき、しかる仕方を。
 私は熱愛する。あなたの手の絹のような柔らかさを。
 私たちがかわす口づけを。
 私はそれらを熱愛する。私のいとしい人。

 私は死ぬほどあなたを私と一緒にしたい。
 近くに、私のすぐ近くに、
 私はあなたから離れたくない。
 あなたは、私の生きている証、私の感覚。
 あなたは私の月、あなたは私の太陽。
 あなたは私の愛の夜。

 私は熱愛する。あなたの目の輝きを、
 私は熱愛する。あなたがため息をつくときの姿を、
 そして、あなたが歩いているときの姿まで。
 私はあなたを熱愛する。私のいとしい人。
 私はあなたを熱愛する。私のいとしい人。
 私はあなたを熱愛する。


*MUSICA.COMに公表されたスペイン語歌詞から引用させて頂きました。
*研究を目的とし商業的利用は行っておりません。




アルゼンチン 『ロシナンテの肋(あばら)』

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ロシナンテの肋(あばら)

ロシナンテの肋(あばら)

ロシナンテの肋(あばら)

ロシナンテ/Rocinante:「ドン・キホーテ」で主人公が乗ったやせこけた駄馬。
戸井十月著「チェ・ゲバラの遥かな旅」(集英社文庫)を読み返す旅が終わった。

旅と放浪は何が違うのだろうか?帰るべき場所をしっかり意識して日常生活から
飛び出す事が旅であるならば、三十数年前に日本を飛び出した自分は、現在も
放浪を続けているのだろうか?時々釣人はふとそんな事を考えて竿を握りしめる
事がある。パリでの生活が長くなり、そしてやっとこの頃パリが好きになって来た。
何時からかパリ発、パリ着の切符を手に旅に出る様になった。相棒との二人旅は
山や川へ向かう事が増え、二人山旅となる。何時の間にかデラシネは終わった。

 『ゲパラより六歳齢上の彼は、いわば兄貴分の存在だった。当時23歳だった
ゲバラを、生まれて初めての旅に誘ったのもアルベルトだ。80歳のアルベルトは、
キューバの銘酒”ハバナクラブ”のオン・ザ・ロックを舐めながら、51年前の、2人
で旅を決意した日を思い出してくれた。
 「あれは1951年の秋だった。チェも私も旅と冒険に憧れていた。アルゼンチン
から出て、広い世界を見てみたかったんだ。南米大陸を回って北米まで行く旅を
提案したのは私だった。チェはすぐに話に乗ったよ。二人共、決めたらすぐに行動
を起こすタイプの男だったんだ。で、オンボロバイクに二人乗りの大変な旅が
始まった。今から思えば無茶苦茶な旅だったが、我が人生最高の経験だったよ。
結局、その旅が、その後の私たちの人生を決定したんだからね」 ... 。
 
 私は、再びロシナンテの肋(あばら)を自分の踵(かかと)に感じます。
楯(たて)を構えた私は、再び旅に出ます。
 (1965年、チェ・ゲバラが両親に宛てた別れの手紙より)

 遺体が発見された後、ゲバラの次女アレイダ(アレイディータ)や、キューバ
上陸以来の苦楽を共にした同志たちがジャーナリストの取材を受けた。
「チェ・ゲバラという人間の最も優れた資質は何だったと思いますか?」の質問に、
アレイダも旧同志たちも、皆、口を揃(そろ)えたように同じ答えを返した。
 「人を愛する才能です」
 この短い言葉の中に、ゲバラという人間の全てが凝縮されていると私は思う。』
  ...................... 戸井十月著「チェ・ゲバラの遥かな旅」(集英社文庫)より

1冊の旅本が背中を押してくれていた。寝台バスの中、民宿の電燈の下、其れは
しっかり釣人を支えてくれた。39歳となった体で夜のジャングルを徹夜で歩き続け
ながら、ゲバラは最後まで活路を探していた。まだ若く、世界を知らなかった彼が
親友と最初の旅へ出発した母国アルゼンチンを歩く事が出来た幸運に感謝する。
釣人は少年の屋根裏部屋で相棒とのアルゼンチン山旅の土産話を語り明かした。



ブエノスアイレス 「ラストタンゴ」

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ラストタンゴ 

ラストタンゴ

ラストタンゴ

ラストタンゴ

ラストタンゴ

ブエノスアイレス、アルゼンチン旅のラストナイト。今晩は思う存分、タンゴの夜。
"ミュージック"では感じられない感覚が"ムジカ"と発音されると伝わって来る。

タンゴの歴史はまだ100年余りだそうだ。発祥の地はもちろんアルゼンチンであり、
港町ブエノスアイレスの港労働者地区ボカからだと言われている。広大な土地に
パンパ(平原)と呼ばれる大草原を有するアルゼンチンは、穀物や牛肉を輸出する
港町として栄えた。19世紀末から20世紀初頭にかけ、ヨーロッパから移民の波が
押し寄せた。広大な平原と「銀の夢」を求め、ヨーロッパ系白人、おもにスペイン、
イタリアのラテン系白人がこの国へ押し寄せて来たのである。同時にアフリカから
多くの黒人が労働力として連れてこられた。ラテン系白人、アフリカ黒人、先住民族
インデイオの文化が混沌と入り組みながら、貧富の差が著しい歪んだ社会構造が
出来上がって行った。そんな社会を背景にアルゼンチンタンゴは貧民港労働者が
屯するボカ地区、裏町の裏通りにある飲みバーから起こって来たそうだ。最初は
ギターの伴奏で船乗りや娼婦が酒の勢いをつけて躍っていたらしい。やがて其の
踊りは港町に広まり、ヴァイオリンも加わると、より洗練されたイキなステップへと
変貌を遂げて行く。其れは、毛虫が華麗な蝶へと変身して行く様な流行であった。
否、少年が大人の男へ、少女が魅惑の女へと成長して行く過程であったのだろう。
アルゼンチンタンゴはやがてヨーロッパへ紹介され、曲に流れるアフリカのリズム
は薄められ、欧風クラシックの要素を組み込まれて、コンチネンタルタンゴとして
広く世界へ紹介されて行く。所謂タンゴの曲として我々に知られているものは殆ど
コンチネンタルタンゴの要素が強いものである。よりソフィティケートされた音律で
バックグラウンドミュージックなどにも使われる。ところが、アルゼンチンタンゴは
どうだろう?やがて、バンドネオン(小型アコーデオンの様で鍵盤がない楽器)や
ピアノを引連れる様になっても、持って生まれた野性的な強さは一切変わりがない。
音楽は様々なミックスから生まれる。アメリカを代表する JAZZ もそうだが、黒人
と白人の音楽が磨きを掛け合って生まれて来た。タンゴはアフリカとヨーロッパの
音楽ミックスから生まれ出でている。JAZZ はアフリカとアングロサクソンだろう。
TANGO はアフリカとラテンを其のルーツに持つ事から、微妙な違いが生じている。
ブエノスアイレスの港っ子達は、タンゴを「愛と祖国への誇り」と呼び合うらしい。
ラストナイトの釣人と相棒はラム酒ストレートで、最後のタンゴを心に刻んでいる。


ブエノスアイレス 「BOCA JUNIORS」

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BOCA JUNIORS VS GODOY CRUZ 

BOCA JUNIORS VS GODOY CRUZ

BOCA JUNIORS VS GODOY CRUS

BOCA JUNIORS VS GODOY CRUZ

BOCA JUNIORS VS GODOY CRUZ

BOCA JUNIORS VS GODOY CRUZ

BOCA JUNIORS VS GODOY CRUZ

ブエノスアイレスには BOCA JUNIORS と RIVER PLATE、2つのチームがある。
マラドナが在籍した BOCA JUNIORS チーム は知名度と強さで若干優っている。

観戦を待ってくれていた様なタイミングで地元「BOCA JUNIORS」の試合がある。
ところが、入場券は当然の如く既に完売済み。此処は最後の手段と、大枚を覚悟で
サッカー観戦ツアーに参加する事にした。ホテル送迎付きと言う贅沢なツアーだが、
入場券を常時押さえてあり、気軽に地元のサッカーを観戦出来る。コルドバでの冷汗
経験を踏まえると、落ち着いて最後まで安心して見れる。何よりの事かも知れない。
あの「マラドナ」が在籍したチームの試合。生涯有るか?無しか?の大チャンスだ。
此処は一先ず、ユーロの力に頼るしかあらずと二人は合点した。試合前にカフェバー
でピザをご馳走になり、ビール乾杯でツアー皆で盛り上がる。いザ!ボッカのホーム
会場へ!。一体何万人が観戦するのだろうか?南米アルゼンチンのサッカー熱には
驚きの一言だった。場内を埋め尽くす地元ファンで、会場は足踏み入れる席もない。
応援は様々な形があり、口笛、掌の動かし方ひとつにも違いがある。応援の風を送る
様であり、挑発する様であったり、取り敢えず皆の動きをお手本に同じ様にやった。
サッカーに関しては、中学時代から大学まで、十分に時間だけは費やして来たので、
たとえアルゼンチンサッカーファンと渡り合っても五分で語り合える。と、強がって
いたが、試合前セレモニーで既にびっくり仰天。「ワーぉ!」魅惑の演出であった。
選手は目にも止まらぬ凄技で「ゴール!」、「ゴーール!」。夢の続きが始まった。



ブエノスアイレス 「魅惑の輝き」

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魅惑の輝き

魅惑の輝き

お気に入りを探す時は、テーマを絞り込み、より専門的な店を訊ねて見る。
専門分野の世界は狭く深い。同じテイストを大切にする関連店を教えて貰う。

旅先の街で、数多い情報の中からお気に入りを探し出すのは至難のわざだ。
釣人は何時も現場主義であった。より専門的な立場で現場を熟している人に
ストレートに直接教えて貰うのが一番の近道だ。釣人は相棒用の旅先ダンス
練習靴を探していた。キューバ、アルゼンチンと最近相棒は地域ダンス習得に
燃えている。旅サンダルで何とかやっていたが、二度ある事は三度?続きそう
なのでタンゴの国「思い出靴」も悪くないなァ と相棒に提案すると、すこぶるの
喜び様で一致即決となった。ダンス靴店を見るには見たが、「この一品」には
巡り合えない。まだ意見を伺うべき専門店、専門の人に辿り付けていないのだ。
そこで釣人は、行き先をアルゼンチン・タンゴ専門のドレス店へと変えて見た。
さすがに本場の星、現場で他を魅惑するドレス店の品は輝きがあった。店内を
ゆっくりと見せて頂き、専門の店員へ訪ねてみた。「タンゴの練習シューズ」を
探しているのですが ... 。店員はすぐに二つの専門店の住所を教えてくれた。
釣人はこんな人、現場の呼吸が好きだ。此の二つがトップ店と勧めてくれる。
そうなるとスピードアップ。一店はドレッシーなお店で、もう一店はより練習を
重視した専門店であった。星を映し出す様な魅惑のタンゴシューズが店奥から
運ばれて来る。美しさに固唾を呑むが、残念ながらボリュームが大きく、旅先に
何時も持ち運ぶ靴には適わない。練習シューズ専門店で見せて貰った靴は、
お気に入りのサイズ在庫無しと残念に終わる。練習シューズはパリにも専門店
が在る為、此の一件は保留とした。ダンスシューズ店を後にすると、すぐ近くの
窓に、眼を捉える輝きが首を長くして待っていた。釣人はこの種の金属反射と
原色の組み合わせには反応を起こしてしまう。ニッケルクロームの輝きは強い
日射しの河口部で、燻した黒色のおとなしい金属色なら山岳上流で ... 。必ず
このパターンなら十分に魚と渡り合える .. 。釣人は相棒の星の輝きのすぐ脇で
もう一つの「魅惑の輝き」と遭遇した。この輝きにどうやら二人は首っ丈の様だ。


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