南アンデス 「塩の湖」

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塩の湖

塩の湖

塩の湖

塩の湖

塩の湖

サリナス/Salinasu:標高 3,400mに湖面を白く埋める「塩の湖」がある。
季節で「塩の湖」は表情を変える。5月後半(乾季)は湖全面に塩が顔を出す。

プルママルカでバスを降り、乗り合いタクシーでチリ方向へ峠(4,170m)を越え、
サリナスへと走り続けた。山道が下りへ向かうと雪が積もった様に真っ白な湖が
見えて来た。サリナスの「塩の湖」へ到着。運転手が「いい季節に来れたネ」と
説明してくれた。5月後半は南半球アルゼンチンは冬へと向かっている。気候は
乾季の最中、雨は少なく晴天が続くが、シーズンオフで観光客の少ない季節を
迎えている。塩が湖全面に現れ、静かな湖面を眺められる好機であるとの事だ。
釣人と相棒は雪面を見せられている様な錯覚に陥った。透明で薄い青色の空が
不思議な程に、寒さのない湖を恰も南極の風景の様に感じさせた。「塩の湖」の
話を聞かせてくれたのは、イルヤで出会った 5ヶ月間南米を旅している若者だ。
ボリビアとサリナスで見た「塩の湖」は神秘的だったと語る視線が印象的だった。
釣人と相棒はそんな彼の視線を今此処で思い出していた。土産用の塩小売りは
していないとの事だったが、是非旅の思い出に味わいたいと少量を分けて頂いた。
建屋裏へ回ると、太陽光の湯沸かし機があった。チベットでも見た懐かしい形の
エコ機だ。鏡球中心に置かれたヤカンがシンシンと吹いている。パリへ帰ったら、
少年に此の塩で特性パスタを作ってやろう。3,400mの神秘の塩を味わいたい。


南アンデス 『野生のきらめき』

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野生のきらめき

野生のきらめき

野生のきらめき

野生のきらめき

野生のきらめき

野生のきらめき

野生のきらめき

野生のきらめき

野生のきらめき

野生のきらめき

野生のきらめき

ビクーニャ/ Vicuna:アンデスの標高 3,700m 〜 5,000m に棲息する野生種。
見渡す荒野に何かを感じた。そして、彼女は突然、釣人の前にその姿を現した。

峠を越えて、車はサリナス/Salinas へと走り続ける。標高4,000m を超す空気は、
透明感を増し、別世界の様に感じられる。薄くなる酸素が感覚を虚にするせいか?
非日常的な感覚が冴えて来る。二人はコカの葉を噛み続けた。見渡す荒野の中に、
釣人は何かを感じ取った。生き物、「群れ」がいる。野生種だ。釣人は指を差し、
運転手に訊ねた。「Vicuna!」。インディオの運転手が答えた言葉が釣人と相棒の
冴え切った頭に響いた。『ビクーニャはラマやアルパカに似たラクダ科哺乳類だが、
決して人には懐かず、家畜化は出来ない野生種だ。標高の高いアンデス地方にだけ
棲息し、其の毛織物は素晴らしく、保温と耐水性に富み、高価で貴重な山着となる。
乱獲で絶滅の危機を迎え、今は厳しく保護されている。』運転手が説明してくれた。
釣人は話を聞きながら、渓谷に隠れる様に棲む美しい野生魚の姿を空想していた。
そして、彼女は突然、釣人と相棒の目の前に姿を現した。運命の様な出会いだ。
美しいものは、何時も突然現れるのだ。そして、絶望的な軽さと共に、去って行く。
だから、其れは美しいのだろう。二人は、感動に包まれながら、其れを受け入れた。

『私は美しい魚が好きだ。大自然の中で、美しく生きている生物が好きだ。
 そうした生き物を一目見ただけで、背筋がぞくぞくするほどの興奮に包まれる。
 だから一度見てしまうと、その存在を知ってしまうと、もう寝ても覚めても、
 頭の中はそれで一杯になってしまう。
 会いたくて、会いたくて通いつめる。釣れなくても、釣れなくても、 
 何度でもアタックする。しかし、めったに姿を見せてくれない。
 祈るような気持ちで、フライを投げ続ける 。』 沢田賢一郎/ 野生のきらめき より

釣人は突然現れたビクーニャの姿を見た。そして、その眼に美しいきらめきを見た。
野生の遡上魚に似た神秘的な光だった。「珍しい事だよ」運転手の声で我に戻った。



南アンデス 「峠越え」

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峠越え

峠越え 

峠越え

峠越え

峠越え

ティルカラの村(標高 2,451m)を拠点に山村を歩き、体は十分に慣れて来た。
いよいよ 4,170m の峠を越え、サリナス( Salinas 標高 3,400m )へ向かう。

南アンデスを去る日が近づいている。体はすっかり 2,451m の標高に順応して、
釣人と相棒の血液中の赤血球(ヘモグロビン)数も必要に応じて増え始めている。
日毎に自分の動きが楽になって来るのが伝わって来る。そろそろ、今回の山旅で
標高の最も高い峠を越え、サリナス(Salinasu)ヘ向かう頃合いだ。村人が酸素が
薄くなる標高を渡る際に使う「コカ/Coca」の葉を教えてくれた。マテ茶用コカや
そのまま葉っぱを口に入れて噛み続けて使うコカの葉っぱが市場で売られている。
インディオの人々は昔からこの方法で酸素の薄い標高を渡り、熟して来たそうだ。
普段からマテ茶として飲用するコカには、そんな効用が含まれているらしい。より
即効性のある方法としては、コカの葉を直接ガムの様に噛みしめるらしい。二人は
早速市場でコカ葉を購入して備えた。(コカ葉を噛む場合は、常用すると歯に悪い
場合もあるので注意との事であった)。ティルカラを乗り合いバスで出発、既に
訪れたプルママルカ(Purmamarca)へ。其処からの移動は乗り合いバスも無く、
乗り合いの個人タクシーで峠を越えて行く事になる。同じ方角へ向かうスイス人の
女性旅人と割勘で相乗りする。相乗りタクシーは いよいよ4,170m の峠へ向かい、
いろは坂を登って行く。空の色が変わって来る。チベットで見た空の青さが蘇った。
昨年の 8月、相棒が釣行入渓時に谷川へ滑落、膝関節捻挫を負い、救急病院へ
向かった。余りにも幸いな事に、靭帯切断に至らず、お陰様で完全復活が適った。
それ以降、二人のセキュリティー基準を一段階アップして自然と接する事にした。
相棒は遥かな山々を眺め、釣人は少年を思いながら、時の流れる運命に感謝した。
遥か彼方に、「CHANI 山」が白い頭(標高 6.200m)をチリの国境へと覗かせる。


南アンデス 「風」

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風

風

風

風

風

風

風

風
 
標高 2,451m の村には爽やかな山の風が吹いていた。夜空の星が美しい。
若者は、新しい風を求めて汗を流す。そうだ!「風に溶け込めばいい!」。

『空を飛ぶコンドルを見ると幸せが来る』と旅人は聞いた。この村の子供たちは
沢山の幸せをポケットに詰め込んでいることだろう。釣人と相棒は其れを信じた。
バスターミナルの傍、工場の様な体育館から、音楽が響いて来た。後ろ戸を開け、
中を覗かせて貰う。年長の子供達が元気に踊っていた。良く見ると、前列中心で
先生役リーダーが踊り、皆は彼の振付を見ながら同じ様に踊っている。ちょっと
古い踊り方かナ?釣人と相棒が眺めていると、「見るなら入って来て、前から」と
手招きしてくれた。先生は全身ビッショリで奮闘している。いい物を見せて貰えた。
汗を流し、懸命に踊る若い姿が眩しかった。村の一番星、若者のディスコだろう。
彼等は美しい星空を見上げ、山の風を聞いて育って行く。コンドルの雛の様に。



南アンデス 『世情』

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世情 

世情

世情

19世紀末〜20世紀初頭、スペインを中心に欧州からの「銀の波」が押し寄せた。
現在アルゼンチン人口の 97%を、スペイン系、イタリア系の白人が占めている。

わずか数十年の移民の波は、やがて、現在アルゼンチン人口(約 4,030万人)の
なんと97%迄をスペインとイタリア、ドイツ、フランスなどのヨーロッパ系白人に
占められるに至った。残る 3%に、白人とインディオの混血人種、先住インディオの
民族が残るに過ぎない。幻の銀の国、アルゼンチンは、先住民が歴史に築き上げた
全ての文化をヨーロッパ先進国に委ねる事となった。そして、殆どを白人の文化に
覆い尽くされる運命となった。残ったインディオは、文字を学び、文化や習慣を受け
入れながら、目まぐるしく変わる政権へ順応して、生き残る道を選んだ。其の道は
苦渋の選択が滲んでいる。昔と同じ丘で、同じ朝陽を浴び、白人文化を受け入れた。
彼等の真剣な眼差しが心の奥を刺した。風に中島みゆ/世情 (←左クリック)の
歌が聞こえた。人は山着をGパンと上着に替え、制服を着て溶け込もうとしている。
(YouTube 「-」を左クリックして最小化すると写真を見ながら曲を聴けます。)


南アンデス 「二つの文化」

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二つの文化 

二つの文化

二つの文化

二つの文化

二つの文化

アルゼンチン五月革命記念の週は、「五月の週/ Semana de Mayo」と祝われる。
農業移民は17世紀に始まり、スペイン人と先住民の混血・メスティソが生まれた。

アルゼンチン国民祝日の革命記念日(5月25日)の週は、「五月の週」と呼ばれ、
ティルカラの村広場でも様々な記念祝典が開かれた。この革命を期にスペイン
からの解放へと動き出した祝日だ。やがてアルゼンチン独立記念日(7月9日)を
迎えるに至るが、この戦いでの「ガウチョ」と呼ばれる人々の貢献は大きかった。
17世紀から 19世紀にスペインやポルトガルから農業移民としてこの地に渡り、
やがて、その殆どが先住民との混血(メスティソ)となった。独立への戦いでは
多くの血が流されたが、牧畜に従事していた「ガウチョ」の貢献は見逃せない。
その勇敢な戦いぶりは伝説となり、今でも語り継がれている。民族の歴史には、
大きな波と流れがある。移民当初は農業や開拓に従事していた移民白人だが、
先住民インディオとの戦いが続く中、農業を離れ、野生化した牛の捕獲業などを
目指して荒野へ出た。やがてその殆どが先住インディオとの混血となり、牧畜で
生活を安定させて行く事となる。独特な反骨精神を有し、数々の武勇や伝説を
誇りとしている。昔、西欧から渡り、そして戦い、荒野へ出て、やがて血を混ぜて
定住への道を選んだ。西欧化の流れに抵抗し、民族的な文化を守ろうとする気質
を備えたメスティソが生まれた。文化は交じりながら、新しい歴史を刻んで行く。
南アンデスの山村で、二つの文化が爽やか色合いでおおらかに交じり合っていた。


南アンデス 「トレッキング」

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トレッキング 

トレッキング

トレッキング

トレッキング

トレッキング

トレッキング

トレッキング

ティルカラは周辺を山に囲まれる。標高 2,451mから往復時間を決めて歩く。
乾燥した荒原、地肌の山は、朝昼の温度差が激しく、予備品の選択が難しい。

釣人と相棒の山歩きは、頂上を目指すスタイルではなく、水平に近い横歩きだ。
美しい山並みへ向かって往復時間の半分を歩き、後の時間で戻る山の散策だ。
このあたり一帯は乾燥したアンデスの荒原で、岩肌には草木からサボテンへと
植物分布の変化が見られる。早朝( 5月後半)には霜が降り、昼間にはTシャツ
と寒暖の差が激しく、早朝の出で立ちや飲み水の予測が難しい。釣人の性分と
して、遂々安全過剰の装備となり、軽量化に反して試練が付き物となってしまう。
たとえ乾燥地の晴天日と言えども、一応、カッパはリュック内の必需品と考えて
しまう。今回の反省点ともなったのだが、雨時の為に用意したカッパが、釣用の
ゴアテックス 3層物だった事。薄手の軽量カッパであれば、リュックの軽量化に
楽が出来た事と思われた。(幸か不幸か、さすがに雨には降られなかった .. 。)
非常時の予備は必需品。宿に戻り、使わなかった物をリュックから引き出す度、
試練の時を噛みしめた。標高には体が慣れて来たが、坂道を登る際にはさすがに
息が切れる。相棒の「今日もまた使わなかったね!」の勧告に、頭を掻きながら
「使わなくて済んだ事に感謝!」と応戦。山にはピューマも棲んでいるのだが .. 。


南アンデスの色

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南アンデスの色

南アンデスの色 

南アンデスの色を探しに出る。どんな色がその村で輝いて見えるのだろうか?
補色残像:照らされた色を眺め、白色に目を移すと反対色の残影が浮かぶ。

環境を取り囲む色に目を慣らし、其処に冴える色を探す。基盤をなす色は
どんな色だろうか?その環境はどんな光に照らし出されているのだろうか?
基盤色の補色を想像する。其の色と同じ色相(赤、黄、青といった視感覚で
感じられる属性)の光(単色光の波長)は、どんな状況の時に現われるか?
言葉にするとややこしい説明になるが、「輝いて見える色」とは、そんな光に
照らしだされた「基盤色の補色(反対色)」と言い換えられる。肉眼で鮮やかに
冴えて見える色は、そんな色相の色だ。もう少し色の勉強を進めたい場合は、
「補色残像」について調べて見よう。輝いて見える色の不思議が解り易く頭に
入って来る。ローカル・フライ(地方独特な毛鉤)は、其の地方固有な川水の
色に共鳴される。同色の素材が含まれている毛鉤が多い事が知られている。
釣人が必要とされる「魚の目」に成る為には、まず、「人の目」を様々な環境に
晒し、色の法則や視覚的に生じる錯覚を頭に入れてから、独自の空想力に
磨きをかける訓練が大切だ。水中を泳ぐ毛鉤の表情が、感覚的にどんどん
「魚の目」に近づき、想像(空想)されて来る事は毛鉤釣りの面白さでもある。
旅に出ると釣人はよくその土地で冴える色を探しに出る。水の「フィルター」
を通した世界を空想したい。まず街へ出て、その土地の光で色を見て回ろう。




南アンデス 「山の帽子」

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山の帽子 

山の帽子

ティルカラ考古学博物館 /Museo Arqueologicoでインディオの生活ぶりを見学。
山着や帽子は、実用に適った優れたものだ。釣りにも最適と思われ、暫し眺めた。

山岳で生きたインディオの用具は、其の全てが釣人を捉えた。少年に見せたい。
釣人と相棒は少年が目丸くするだろう「インディオの知恵」を心に刻んだ。相棒は
しみじみと山の帽子を眺めている。
釣人の帽子には、好みにより、若干ややこしい
必要条件がある。肌触りは気持ちの良い柔らかさを備えている事、ガサばらず、
不必要な時は折りたたんでポケットに隠せるサイズ。物陰から覗く部分でもあり、
出来るだけ周囲の自然に溶け込む色合い、素材が好都合だ。一応は、多少の雨
にも耐えられる素材。最後に、此処が何よりも重要なのだが、被っているだけで
通いつめる清流の心を捉え、釣姿カッコ良く仕上げてくれる事。 .. と、我儘放題な
条件をクリアーせねばならない。(同じ様な帽子が増えてしまう言い訳だが .. )。
どうやら相棒のお気に入りは、昔作りの荒いフエルトの質感にある様だ。最近の
フエルト技術は、進歩の結果、質感が均等になり、良質エレガントなものになった。
同時に、手作りの温かさが醸し出した天然マテリアルの素朴さを失ってしまった。
陳列のフエルト帽は、ふんだんに入手可能なラマの毛であっただろう。質感も良好、
ドンピシャだ。村で探したが適わず、相棒はラマの手編み帽子を今回の記念とした。

南アンデス 「ラマ」

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ラマ 

ラマ

ラマ

ラマ

ラマ

Llama:偶蹄(ぐうてい)目・ラクダ科の動物。南米の高知で飼育される役畜。
アルゼンチン現地スペイン語の発音では、「ジャマ」と聞こえる。

ラマ(リャマ)と人間の関係は、7,000年にも及ぶと、飼い主がまずその長い歴史を
説明してくれた。南米、特にボリビアやペルーなどの山岳地帯で役畜として飼われ、
家畜化されて野生種は存在しないそうだ。毛は長く羊毛状、一般的織物、編み物に
利用される。肉は食用となり、脂肪は灯油として明かりに使われる。山間での厳しい
環境の中で、人間にとっては貴重な役畜だ。飼い主が可愛がる事も影響していると
思うが、人に懐いて近寄って来る。大きさの割には柔らかい毛に覆われているので
仔羊の様な触り心地だ。良く似たアルパカより庶民的で実用的な毛織物が作られる。
互いに見慣れぬ者同志、おっかなびっくりのご対面。長い首をそっと撫でてあげた。
後日聞いた話では、気に入らない相手には消化液をツバの様に吐きかける技もある
との事、此れに関しては『知らぬが仏』で良かった。二人は面接試験の心境だった。


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