『 朝顔は わがありし日の 姿より 少しさびしき 水色に咲く 』 与謝野晶子
青い花が好きな釣人に、友の詩人が教えてくれた晶子歌。縁あって、棚を作って植えてやるとクルクルと蔓を巻き、我家の台所窓に花をつけてくれた。町の暮らし、パリの生活事情では十分に太陽の光もあげられず、何より、育ち盛りの蔓を摘めねば、天迄届けと育ってしまう。随分と窮屈な思いをさせて育てた。夏の一服、コーヒータイム時に窓を開けるのが楽しみだ。朝方は知らぬ間に涼しくなり、空が薄く、高くなった。歌の意味を考えていると、「おはよう!」少年が相棒の見舞いにやって来た。高緯度の夏を雲が少しずつ東の彼方へと流れて行く。