白昼夢

JUGEMテーマ:日記・一般


白昼夢

朝目覚めると青空が広がっていた。久しぶりに気温が上がり、初夏の風が流れている。
街中の路上でも、翅を落とした女王蟻が腫れた卵巣を重そうに新居を探している。

釣人は夏仕事を続けている。昼食後の一休み、窓の外を吹く風に初夏の渓相が浮かぶ。気温の高い曇り日は、働き蟻に急かされて沢山の雄蟻と女王蟻が飛び立っている頃だ。夕方にはカディス(水生昆虫:毛翅目トビケラ)の羽化が始まり、鱒達も日没時迄大忙しになるだろう。毛鉤釣りをやる者は心の中に常々、独自の毛鉤箱を認めて(したためて)いるものだ。一期一会の時の流へ、己の毛鉤を摘み上げる。釣人は白昼の風に竿を振った。



「現場をとらえて」 - PRIS SUR LE VIF -

JUGEMテーマ:日記・一般


「現場をとらえて」(PRIS SUR LE VIF)

現場での状況判断を何より尊重する。机上の想像は、計画段階の下準備にすぎない。
嬉しい成果を引き出す「鍵」は、休息後の柔軟性に富んだ新鮮な発想と正確な判断だ。

「現役」を名乗れる間は、各現場の状況と共に、自分自身の成長を心掛けねばならない。成長は変化であり、己の無変化は、「退役」を意味する状態だろう。現場は、様々な事を常に語り掛けて来る。其れ等をどう聞き、どう判断して、どう行動するか?が、問われる。釣人は少年に語り掛けた。「安全に対する自分のキャパシティー。補充物に対する自分の経済力。」現場状況を打開する力こそ、「現役」の宝物だ。探求と同時に、工夫は大切だ。



夏至祭

JUGEMテーマ:日記・一般

夏至祭

6月 21日(夏至)。パリでは人々が街角へ出て、夜明かしの音楽で年一番の日照を祝う。
高緯度の夏空を見上げて太陽へ歌い、踊る。喜びと感謝を叫ぶ、一晩の音楽祭だ。

夏迄にと約束した竿仕事を完了、釣具店へ無事搬入した。最近はメガネが何より重要な仕事道具になって来た。愛用メガネを着用しても、指先の感覚だけで作業を進める事が多くなって来ると、さすがに心細くなる事もあるが、その分、愛情を込めて仕事を進める。約束の搬入を無事済ませると、肩が軽くなった。釣人は少年、相棒と連れ立ち、夏至祭で賑わう街へ出た。今晩は街の住人、老若男女と一緒に高緯度の夏到来を祝う事にした。



緑の内庭

JUGEMテーマ:日記・一般

midori 

太陽光と緑は生物の安全色。木漏れ日に石苔、英語では「serenity of mind」と称される。
パリ市内での内庭は極めて贅沢な環境だ。「心の平静」を求め、様々な事が試みられる。

人は其の境遇により様々な環境と付き合わされる。其れ等は羨ましい限りである場合や、本人向きでない場合など、各自其れなりだろう。野生動物であれば、自分の好みに合わせ環境を移動出来る。仕事や時間に優先され、思うままに飛立ちままならぬ人間の場合は、自分の生活環境の内に「心の平静」を取り込もうとして様々な工夫が試みられる。穏やかな木漏れ日やその環境で育つ石苔は、東西の隔たり無く、人の心にも優しいものなのだろう。釣人と少年は「素晴らしい空間だなァ .. 」と、決して広くない内庭全体を眺めた。 釣人も縁側での一服のひと時を思い描き、少年と「坪庭」と称する極小テラスを自宅窓辺に作っていた。


「仕事、時々釣り」

JUGEMテーマ:日記・一般

仕事場の釣人

窓から緑の風が入って来る。多忙の中に竿の撓り(しなり)や糸の張りを想像する。
サボりを決めず、共存のリズムを探す。それなりの準備期間も大切な成長時間だ。

『二十歳の情熱は青いと言われ、三十歳の情熱は若いと言われ、四十歳の情熱はクドイと言われました。半世紀を生きた今だからこそ、情熱を失いたくないのです。冷静さは人世のスパイス。』と、教えてくれた人がいた。『繰り返し、釣りの喜びと空しさの中に生きて、初めて解脱し悟りを開く。釣りとは一体何かを考え抜き、その中に自分の人生を垣間見る。』と、達人は語っている。釣人は夏風を吸い込んだ。後片付けを終え、シャワーを浴びる。仕事の汗埃を流すと爽快だ。釣りには行けなかったが、今日は一日の仕事が捗った(はかどった)。


回復補修

JUGEMテーマ:日記・一般
 
修復治療

手入れ怠りなしでも、長年使っていると「傷み」は生じて来る。時期を逃すと致命傷となる。
其の性質を変える事なく傷んだ部分を繕うには、専門職人の扉を叩くのが一番だ。

古き良き時代であれば、「よござんしょ!引き受けやした」、職人のそんな返事が聞こえた。九死に一生を得た「長年の友」もあった。 .. が、現代は新品、買い替えの時代になっている。ピカピカの新品は清々しく何よりだが、買い替えを見越した営利本位の安作り商品が増えているのが実情だろう。名指しで残された竿を、釣人は磨いて並べた。「どんな魚を釣って来たんだい?どんな流れを歩いて来たんだい?」。綻びた竿は、少しずつその傷口を話し始める。


配線工事

JUGEMテーマ:日記・一般
 
配線工事

距離を隔てた機器や装置を導線で接続。両者に回路を構成して、信号の伝達を図る。
釣人は水中の毛鉤へ絶妙な演出を試みる。魚信は配線を遡り、掌に届けられる。

夏至が近づき、パリは例年より早く、すっかり真夏の気温が続いている。「暑いなァ .. !」。釣人は部屋に籠もり、自宅の電気配線工事と取り組んでいる。長年の宿題もそろそろ期限、この夏に目処を立てたい。配線プラン図には、大型 TVと音響設備も書き加え、格闘中だ。相棒は我が家の近代化、少年は大画面に期待している。「配線は、安全でシンプルに!」。釣人は川底の大物へ夢の信号を送るべく、新規配線への組み換え工事と奮闘していた。


気難し屋

JUGEMテーマ:日記・一般

気難し屋 

重大な理由はなく、多少のこだわりを通す。何時の間にか、「ウェット派」になっていた。
やっと巻き上げた毛鉤に化学薬品を塗り込むのが腑に落ちない。ありのままで泳がせる。

「気難しい魚」を釣り上げてみたいなァ .. などと考えていたら、十分に自分自身が、気難しくなった事に最近気付いた。水中でサワサワと闊達に泳ぐ毛鉤が良いと思うと、針には決して錘を巻き込まなくなった。流れが読めず、沈んで欲しい時に浮き上がり、浮いて欲しい時に沈んでしまう。流れの底にへばりつく影、「気難しい魚」を釣り上げるには、釣人は其れ以上気難しく在らねばならないのか?釣人と少年の夢の目標は、 50cm以上の良型オンブルだ。


calendar
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
2627282930  
<< June 2011 >>
sponsored links
selected entries
categories
archives
recommend
links
profile
search this site.
others
mobile
qrcode
powered
無料ブログ作成サービス JUGEM