JUGEMテーマ:日記・一般
朝目覚めると青空が広がっていた。久しぶりに気温が上がり、初夏の風が流れている。
街中の路上でも、翅を落とした女王蟻が腫れた卵巣を重そうに新居を探している。
釣人は夏仕事を続けている。昼食後の一休み、窓の外を吹く風に初夏の渓相が浮かぶ。気温の高い曇り日は、働き蟻に急かされて沢山の雄蟻と女王蟻が飛び立っている頃だ。夕方にはカディス(水生昆虫:毛翅目トビケラ)の羽化が始まり、鱒達も日没時迄大忙しになるだろう。毛鉤釣りをやる者は心の中に常々、独自の毛鉤箱を認めて(したためて)いるものだ。一期一会の時の流へ、己の毛鉤を摘み上げる。釣人は白昼の風に竿を振った。