灰色の瞳


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立春を待ち、春はまだ遥か彼方だ。高緯度のパリは、灰色の冬が覆っている。
ユーラシア大陸、瞳が冬空を映すと、釣人はオオカミの遠吠えの様に春を偲ぶ。

空が暗く映り、冬空の下、灰色の瞳が深みを増す。真夏の陽射しに藍色を極める海の様に、瞳にも空の色は映るものだ。厳しい冬を耐える地域に「灰色の瞳」が多いことは興味深い。恰も、瞳が「映すもの」を取り込んでいるが如しに思えるのだ。釣人と少年の瞳の奥底には、一体何が映っているのだろう?釣人は亡父とたった一回行った丸石の川原、少年は膝上で聞いたおじいさんの「鮭釣りはいいぞォ〜」を思った。幻の大物は、遥か彼方を泳いでいた。


パリ 寒桜

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パリ 寒桜 

大寒を過ぎた頃からまた寒くなった。立春を待ち、日照時間は日毎に長くなっている。
「今が見頃かな?」釣人と少年は少し回り道、パリ 4区マレ地区の「寒桜」に立ち寄った。

私感を許されるならば、「海外で見る春咲桜花は、どうも油絵風 ... ?」。日本景色に咲いた桜花を想う時、釣人はそんな気持ちになる。春咲き誇る花々と肩並べ、競い咲く桜花には、どうも郷愁を感じないからか ... ?。そんな訳もあり、釣人は、パリでは 「寒桜」に救われる。未だ冬、海外大寒に咲く「桜花」には、何処か山桜の水彩画、ぽつんとした面影が在った。少年は走り寄ると、真下から桜花を見上げた。二人は暫し、母国に咲く桜花を想い出した。


「技」は「人」 なり

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「技」は「人」なり 

パリ 6区 St.Benoit 通り。蕎麦打つ職人さんの「技」、凝視する少女パリジェンヌ。
「技」は言葉、習慣、国境を飛び越え、人の目から吸収され、人の心奥へ伝達される。

修行時に既に通常人の一生分の動作を繰り返し、さらに日々、これからも毎日修練が続く。均等な作業には毎回心の成長が蓄積されて行く。釣人は瞳輝かせる少女の後ろ姿を優しく見守った。途中 1回、職人さんは ヒョイ っと釣人と少年を眺め、少しはにかんで頬を染めた。釣人は小さい頃から、知らず知らずに、職人さんへ近づく「間」と「位置」を学んでいた。丁度、ガラスで遮られる距離、少女はやがて職人さん其の人を感じる。「技」は人と共に成長する。


新春の満月

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新春の満月 

新春兎年、初満月の夜を迎える。「お月さん」が、世界中に同じ顔を見せてくれる。
日照時間も延びて来た。今晩は表面張力の様、まんまるな顔を見せてくれるだろうか?

パリ左岸 6区、隠れ家「Dragon」と同じ通りに、「Cartes D'Art」 と言うお店がある。何時もの可愛らしいカードに、通る人達は目を細める。「今晩は新年の十五夜さんだ」、釣人は少年の屋根裏部屋を想った。珍しくカードを一枚購入、肉まんお土産に少年が暮らす部屋を訪ねる。勿論、ワインは自前持参しないとお月さん眺めながらの一杯はままならない。今晩の二人のワインは葡萄ジュースと言う約束事となる。満月は、雲間から少年の窓に顔を出してくれる。


ブラック レース

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ブラック レース 

釣人と少年を別世界へと誘い、妖しい光で包んでしまう 「Black Lace」 が波打っていた。
繊細な素材は、重ねられ、透過され、作者の図案から離れる。生命の主張が始まった。

「いいんで ないかい?」釣人と少年は両目丸く、北海道弁で頷き合った。男同士のロマン、審美眼が共鳴する時は嬉しい瞬間だ。年齢差はあるものの、毛鉤釣りの探求に於いては、互いの感性を尊重し合う同胞の士なのだ。伝統的クラシック・サーモン毛鉤の部分名にも、呼び方に何故か? 「Lace」 と名付けられた箇所が登場する。「ダンディズムの夢越しにも、ちゃあんと ロマンは存在するもんね〜ッ」。二人は別世界トリップへの言い訳を見つけた。


冬雨慕情

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冬雨慕情 

新春 2011年、明けてパリの寒気は急に緩んだ。降り続いた雪は冬雨に変わった。
久しぶりのバス移動、冬の雨空に何時ものエッフェル塔が何処までもついて来る。

釣人の散歩道は雨に降られていた。暖房で乾燥した部屋から外へ抜け出すと湿った空気が気持ち良かった。寒さは余り感じられない水色光だ。「雨で増水した清流の色だね」少年は久しぶりに鱒川を思い出した。釣人は何時もより少し高い車窓で眺めるエッフェル塔の姿に、愛しさを感じた。彼女は微動せず何処までも釣人について来た。膝が重さを思い出す様に、彼女も雨に人を想うのだろうか?二人の心の隙間に、雨女が静かにそっと忍び込んで来た。


金の帽子

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金の帽子 

Casquette d'Or /金の帽子。金色金属ビーズを毛鉤ヘッドに纏い、川底を転がす様に使う。
和鉤でも鮎釣りに使われる小粒の金色ヘッド。その正体?川底で蠢く時、魅惑を発揮する。

釣人と少年は金色吹き付けられ陳列された装飾レコードを凝視していた。二人は同時にある毛鉤を思っていた。「Casquette d'Or /金の帽子」、釣れ出すと驚きの成果を上げる毛鉤だ。小洒落た命名に名前負け?を思わす決して美しいとは呼べない風貌であるが、秘められた実力を発揮して、釣人の毛鉤箱の隅っこに居場所を確保している毛鉤である。少年の質問に釣人が呟いた。「金色の輪、孵化直後、稚魚は体に似合わないギョロ目をしているネ!」



氷中花

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氷中花 

束の間の緩みはあるが、冬の気温が続いている。街色が消えると花の色が際立った。
人が季節の色に様々を求める様に、魚は水中を動く「色」に何を感じるのだろうか?

釣人は上着のジッパーを口迄引き、少年はマフラーを鼻先迄巻き上げた。寒気団の一波は去ったものの、冬のパリは凍り付く。道には凍結防止の塩がパリ市公営車により散布され、街全体は何時もより粉ぽい色に変わる。白息吐きながら歩く釣人と少年の目前を、深紅の朱点が流れて行った。釣人は心中で毛鉤箱を開いた。凍り付く水中にはどんな色が冴えるだろうか?釣人の思惑を魚はどう受け取るのか?少年は少女の流れる朱点に足を早めた。


新年 芸術橋から

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新年 芸術橋 

「新年あけましておめでとうございます」。釣人と少年の新年は恒例の芸術橋から始まる。
隠れ家「Dragon」で本年の抱負を語り合い、二人は釣人の散歩道を元気に歩き出した。

釣人と少年は新年のあいさつを取り交わした。欄干から流れを見つめると、心の中で毛鉤が揺れ動いた。千変万化な天候、様々な水色、増減激しい流れの中を勇壮と泳ぐ毛鉤だった。昨年の経験はどの様な変化を二人にもたらすのだろうか?昨年見つけた大物の隠れ家は、今年も大丈夫だろうか?何時もと変わらぬ 365分の 1日を、二人は心新たに渡って行った。取り決められた形式も、時には怠惰なる日常習慣に新鮮な酸素を供給してくれる事がある。


俊足祈願

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俊足祈願 

アリガトウ! 2010年 - 2011年 コンニチワ! 足の速い新年へ、俊足祈願。

新春明けて本年がスタートした。残された宿題のラストスパートで年の瀬を奮闘した釣人であったが、新年初日には準備を整えて来た。今朝からロケットスタート、短距離ダッシュでは定評あるバニーちゃんの年が始まるのだ。息切れ防止策、希望 10kg の減量と見積もった。前回少し急ぎ過ぎた減量を、今回はスポーツ選手並みの注意、じっくりと持続一年の計画で再トライする。一緒の風を走り続けたい。釣人と少年は、ピョンピョンピョンと三度飛跳ねた。


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