家造り、時々釣り

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家造り、時々釣り 

ブルターニュ B川釣行時、お世話になる民宿。夏に完成予定の屋根裏部屋が楽しみだ。
大屋さんは農家ではなく、共働きで、毎日の民宿と家造りに励む働き者の若夫婦だ。

娘さんを学校へ毎朝送る都合で、明日の朝食時間をいつも事前に決めておく。朝一番の釣りを終えると、毎朝、おいしいパンが食卓に用意されている。朝食時には、可愛らしい娘さんもコーヒーやら紅茶を運ぶお手伝いに参加する。釣着の三人組に美味しい朝食をサービスしてくれる。去年は、この土地のアローズをまだ食べた事がないと言う事で、三匹ご進呈した処、とても歓ばれた。アローズがご縁で、心打ち解けた付き合いが始まった。釣人と少年には、広く開放してくれるスペースが、釣具の準備や整理に何よりの大助かり、大きなバスタブは相棒のお気に入りだ。改築中の屋根裏を見せてくれた。ご主人が、今夏迄に工事完了する予定らしい。「すごい作業だなァ ... 」釣人と少年は目を丸くした。この全てを、働きながらの、一人仕事で完成する。釣人は「家造り、時々釣り」。「我家の宿題」へと立向う勇気を貰った。


アザミ花

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アザミ花 

その棘が侵略から祖国を守ったと伝えられる。アザミ花はスコットランドの国花となった。
武器持たず、バグ・パイプを奏でる戦士が先頭を進む。倒れると、後続がそれを引き継いだ。

今回のブルターニュ釣行は、遅く短いにも関わらず、出会えずの春鮭を除き、想像以上もの幸運に恵まれた。不思議なもので、一度そう感謝すると、些細な出来事迄が幸運の前兆の様に思われた。対岸にバグ・パイプを奏でる青年が現れた。時折休みながらも、彼はTシャツを脱ぎ捨て、半日もの間、三人が釣る此岸(シガン)へ、アザミの国の響きを届けてくれた。青年はバグ・パイプを吹き、流れと正対している。今回使う釣人と相棒の Wハンド竿袋には「アザミ花」マークが標されてある。スコットランド生まれだ。釣友の T氏が勧めてくれた達人のサイン入りの鮭竿だ。その両竿が、故郷を懐かしむ様に、気持ち良いカーブで曲がった。少年はやや重いが、唯一の宝竿 14ftD で頑張り、相棒は軽快な 13ftD、釣人は 15ftDと、思い入れの竿、9ft#10S Boron を使い別ける。今年から全員 Extra Fast Sinking リーダーを接続した。対岸の響きが速いテンポに変わる。釣人はその変化に、「黒の毛鉤」が躍り出す様子を空想した。アローズの通路よりも深く、その下に、まだ見ぬ魚はいるのかも知れない。


流れへ帰す

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流れへ戻そう 

理由も哲学もない。そして漁師でもない。回帰する野生魚とそれを求めた釣人の一瞬だ。
掌を冷し、鰓に指を入れない。上流へ頭を向け、清流の酸素を通してやると魚は蘇って行く。

B川の遡上アローズは力強く、格別美しい。 5Kg を越えると、夏遡上の小型鮭に匹敵する。薄紫の輝き以外に飾り気は無いが、朴訥とした凄まじい力を持っている。毛鉤を咥えて竿を感じると、顎を下げ、流れへ一直線に走り抜ける。流芯で踏ん張る力の強い魚は、釣人に様々な事を教えてくれる。不思議だが、同じこの川へ遡上する鮭は小型化しているそうだ。産卵域の違いだろうか?アローズは、上流迄は遡上せず、中流域の緩やかな流れで産卵を終える。上流域に産卵床を必要とする鮭と少し短い流域で移動産卵するアローズに「時勢」と言ったモノが作用するのだろうか?川で生まれ、海で育ち、そして本能に従い、回帰する。産卵行為を終え、そのクライマックスで生涯を閉じる。川や海で様々な生き物を食べ、多くが死に、そして強く、大きく生き残った魚達だ。春と共に群れで遡上する事から、この地方では昔から春先の重要な食糧源でもあった。イワシ科特有の小骨が多い事などで、今は昔ほど庶民に食されてはいないが、十分美味な魚だ。この土地生まれの老人は、この魚を食べて育って来た。「大きな流れの環を、川から海へ、そして、生まれた流れへ遡上回帰する魚」。やがて数日後、この川の中流域で産卵行為を終え、消えて行く魂だ。「元気な内に食すか、流れへ戻すか?」。無造作に傷め、無意味に殺してしまう必要がない事だけは確かな事だ。「一期一会」の縁、その魚は、本懐を遂げるべく遡って行った。「君が流れで力強く、美しく、確かにその時を生きていた事、忘れないよ」釣人と少年、相棒は、掌の息吹を心に刻んだ。


アローズ参上

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アローズ参上 

遡上最盛期を既に過ぎ、二週間一匹の姿も見せなかったアローズが、流れに現れた。
朝靄の早朝、薄明かりの流れの筋に影と輝きが動いた。遡上魚がソコにいるのだ。

それは釣人の第一投で始まった。久しぶりの鮭竿に少し緊張しながら、釣人は丁寧に毛鉤を流れの上流へ沈ませた。軽くメンディング(竿返しによるラインコントロール)を行い、毛鉤を流れの筋へ送り込む。毛鉤は流れを感じ、走り出す前に、遡上魚の通路へ沈み込んで行く。「それでいい!此処からが勝負!」。釣人は、自分自身を集中させた。竿先と同調していたラインの弛みが、緩く張り始める。そして、正に其の瞬間、アローズ鉤は斜め上方へとターンを開始する。実際には短い時間を、釣人は長いカウントで感じ取った。「来てくれ!この瞬間が勝負!」。鮭竿の胴部に微かな魚信が伝わった。居なかった筈の流れの筋で銀鱗が反転する。暖まった水は魚を遡らせ、水量を増した夜の静寂が魚体を十分に休ませたのだろう。アローズが走った。「Dヒット!」、横で少年が歓声を上げた。少年も、しっかりと釣人に付いて来る。「いいゾ!これが遡上魚の釣りだよ」釣人は竿を捌き、相棒に場所を譲る。あっけに取られた相棒も、毛鉤を振り込んだ。海の魚は気まぐれだ。朝靄が消えぬ間の勝負だろう。B川アローズは美しい 5Kg クラス。相棒の 13ft #9 鮭竿を曲げ、小型鮭に劣らぬ野生児だ。


ブルターニュ「春の朝靄」 2010

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ブルターニュ「春の朝」 2010 

例年より雪が多かった冬に春が来た。昨日の快晴、今朝の流れは朝靄を見せてくれた。
海で過ごした魚は遡上回帰を始め、釣人はブルターニュの川へ毛鉤を巻いてやって来た。

今春のブルターニュ釣行は例年より少し遅く、滞在期間も短い。昨日到着した釣人と少年、相棒の三人組はお気に入りの民宿へ荷物上げを終えると、早速、川見に出向いた。途中の街カフェで、まず、サーモンとシートラウト(降海性の鱒)ライセンスの SAISON 2010 を購入。(鱒釣ライセンスに追加が必要)。釣人は時期を過ぎた到着と短い滞在に、少し焦っていた。春の釣りはまだ残されているだろうか?遅れ三人組を、流れは受け容れてくれるだろうか?河口側から順番に上流側へ、プールを車移動して、流れの筋に影と輝きを探す。覚悟の上、今回は川を一つに絞った。勝負の釣場を決めたいからだ。果たして、魚影はあるだろうか?釣人は導かれる様に、去年の釣場へと戻って来た。去年は 4月 5日〜 5月 9日迄が ONLY フライフィッシングの専用期間であったが、今年の釣場掲示板には、 4月 30日迄で既に毛鉤専用期間が終了していた。遡上するアローズ群団をルアーなどの引っ掛け釣りから守る為の毛鉤専用期間の設定であるが、その期間終了は、例年より早く遡上を開始したアローズ群団が既に盛りを終えて去った事を意味している。流れの筋を探すが、魚影らしき動きは見えなかった。只、流れになんとも言い表せない緊張感が漂っている事が、釣人を引き止めた。ブルターニュへの出発日、急に雨が降り始めた事。雨の中を駆け、到着すると午後からの快晴。寒さが続いた気温が急に暖まり、真っ赤な夕陽が訪れた。何かが始まり、動き出す予感だ。それらの全てが、釣人に何かを告げようとしていた。釣人は導かれるままに、今朝の早朝釣りを此処に決めたのだった。川は、「春の朝靄」で歓迎してくれた。寒さ続きの春川の水温が上がっている!。昨日、土地の釣人から、「この二週間一匹も上がっていないよ」と聞かされたこの釣場へ。果たして何が起こり、何を期待するのだろうか?釣人は直感頼りの「イチかバチ」、少年と相棒をこの釣場に引き止めた。三人は、「影の群団」と正対していた。


留守番

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留守番 

少年へ伝言
準備 OK かい? 5月 11日早朝に迎へに行きます。お待たせのブルターニュ釣行。
鮭鉤を出来るだけ巻き上げて準備下さい。アローズ鉤、鮭鉤、鮭竿をご持参。 釣人拝


ネオクラシック

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ネオクラッシク 

古(いにしえ)の挿絵の横に置いて見る。時代を超えて行け!「巻心・釣心・夢心」。
胸の昂ぶりは、流れを揺れ動く憧憬だろう。説明要らぬ愛情が毛鉤を巻き上げる。

「ブルターニュへ!」、春の毛鉤を準備中。巻き終えた「アローズ」毛鉤の復習から始めよう。流れを縦の隊列で遡上するアローズは、出来るだけ毛鉤を素早く沈め、下から斜め上方への上昇ターンで機敏に誘う。流れの筋に銀鱗の輝きを探し、縦の隊列へ「点の釣り」で誘う。海では底を食べていた魚なのだろう。下からの動きに敏感だ。みごとな魚体をギラリと縦に反転させ、押さえ込む様に食い込んで来る。70cmを越えると、海で育った逞しさで、鮭竿を存分に曲げ、その走りは海釣りのシルバー鮭を思わせる。腕前を鍛え上げてくれる群団だ。

さて、問題は、夢の「アトランティック・サーモン」だ。どうしたら毛鉤で出会えるのだろうか?釣人と少年の長年の目標だ。「同じ時期に同じ流れを遡上するアローズとの違い」、これが全ての鍵を握っている。まず、遡上数が極端に少なくなる。その上、中流・上流域において、魚が溜まる名所は、川を含む土地ごと魚漁権と共に、選ばれた人達によって買い占められている現状だ。銀行の頭取やら大企業の重役といった資産家連に気の良い友人を持たない限り、私有地内での竿入れはままならない。一般の釣人には、要ライセンスの公共釣場が割り当てられる。限られた公共の鮭釣場で、「ルアー釣り」や「餌釣り」、「毛鉤釣り」の釣人が凌ぎを削り、幸運の鮭を祈ることになる。それ以外は、最上流域の山間を探し、極小毛鉤を結ぶ宝くじの様な鮭釣りが残される。「だからこそ、釣れたら飛び上がり、全力で走り出してしまう様な釣りにしたい」。「同じ流れを、鮭は一度遡って行くのだ」。そして、そこに必ず、凄腕の鮭釣名人がいる。釣人と少年は夢を膨らます。釣った鮭数を探求するつもりはない。

釣人は毛鉤巻きのバイス(固定具)を前に、二杯目のコーヒーを飲み干した。流れを行く姿が余りにも美しく、海への旅を終えた大西洋鮭(アトランテック・サーモン)は、崇高ですらある。自分が巻き上げた毛鉤に、果たして野生の心を震わせてくれるだろうか?釣人は思案して、懐かしい Bob Dylanの「Forever young」(←左クリックでどうぞ)を聞いた。若き日は、決してしなやかとは言えなかったが、時の流れに揺れ動く感性は自由だった。語りかける彼の昔の声が、釣人を呼び起こそうとする。釣人は、「永遠の若さ」の中に、回帰して行った。微かに聞こえて来た毛鉤のイメージを、一気に巻き上げた。二本目も、同じパターンで繰り返した。巻き上がった二本の毛鉤をクラシック毛鉤の挿絵の横に置いて見た。「共鳴するハーモニーで息づいた。これでいい!数を巻こう」。「クラシックに負けない、揺れる毛鉤だネ」、少年は頬染めて歓んだ。釣人は鮭鉤「ネオ(Neo-classic )」と命名した。今春へ!夢託す毛鉤だ。


一夜巻き・アローズ フライ

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一夜巻き・アローズ フライ 

鮭、アローズのファースト・ランは既に行ってしまっただろう。されど、春はブルターニュへ!
雪が多かった冬だ。例年と何かが変わるかも知れない。早速、夢の一夜巻きが始まった。

ブルターニュで「アローズの達人」と出会った事がある。余りの見事な腕ぷりに、竿を握ったまま横へ行き、毛鉤を教えて貰った。「クリスマス・ツリーの様なものであれば何でもいんだよ」とあっさり言うのだが、問題は流し方にあると行間を読み取った。その後、多少の経験を積みながら、その川へ遡上するアローズは小型である事、遂には、ブルターニュで最も力強く、美しいアローズが遡上する「或る川」へ到着した。毛鉤は、やはり釣人の其々であった。但し、この川の流れは非常に強い。釣場は河口すぐ上の第一プールから遡上と共に順番に始まる。海の魚の性格を揺さぶる刺激ある動きや形、色が第一プールでは問われるだろう。やがて遡上魚の移動が上流側へと進むと、毛鉤の容姿はおとなしく縮小され、ゆっくり動く、自然な気配が必要条件に加わって来る。強く、美しいアローズと渡り合うには、釣人の好みで、出来るだけ早い時期の「海寄りのプール」が狙い所となる。強い流れには、そぎ落としたスリムな毛鉤が必要となる。毛鉤は上流側へ移る程、小さくする。色はアローズの性格上、様々で良い様だ。それならと、釣人はチベット僧侶服の色に極楽彩色のコントラストを使ってみた。昔、チベットの山旅で焼き付いたこの極楽彩色を、釣人自らのオリジナル毛鉤「タンカ」と名付け、良型と渡り合っている。遅い今春も、押さえ込む様に食いついてくれるだろうか?若干危ない色彩で頑丈。相棒ご用達の飾り気省く、特選「アローズ フライ」が巻き上がった。


岩魚になった釣人

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岩魚になった釣人 

限りなく黄色が冴える菜の花畑、村並に咲く藤花、春艶やかな景色を車は走り続けた。
相棒選り抜きの石造りの宿。岩に身を寄せる岩魚の様に、釣人はひさしぶりに心を休めた。

春酣の中を、車はパリからひたすら南東へ駆けた。釣人は少年に若き日のお気に入り曲、 りりィが唄う「Spring has come」を紹介した。聞き慣れないアコスティーでスローなリズムを、少年は思いの外、身近に感じ取ってくれた。今、一面を覆い尽くす春の悪戯っぽさが、皆の気持ちを、やさしく、明るくしてくれた。『 いまァ 〜只眠りたいヨ 〜、 このォ 〜温かい中で、おやすみ、おやすみ、おやすみィ 〜』。うららかにリズムが続いて行く。温かい春の日永を、まだ明るいうちに宿へ着いた。荷物上げを終えると、釣人は車キーを机に置き、石壁に凭れ掛かかると居眠りを始めた。それは、厳しい夏の渇水期を乗り越える「岩魚」の姿ではなく、束の間の穏やかな流れに岩の横で眠る「岩魚」の姿に似ていた。釣人は、浅い眠りの中で夢を見ていた。少年と相棒は釣人にそっと上着をかけて、周りの部屋の探索へと退散した。


田舎での朝食

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田舎での朝食 

朝起きて窓を開けると、早起きの澄みきった光と心地良い囀りが飛び込んで来た。
何時もならパン屋へ列ぶ時間に、今朝は、美味しい「田舎の朝食」が用意されている。

「田舎の天然純正な酸素はきっと体をリフレッシュしてくれる!」。遠出した夜、窓を少し開けて寝る。寝ている間に疲れを洗い流して貰おうと言う、都会暮らし釣人の一夜漬け作戦だ。歳のせいだろう、釣人は早起き一番でまだ眠っていた少年を起こした。「陽が上っているよ。朝食前に庭を散歩しよう!」自然からの招待状には、気持ち良い「田舎での朝食」が準備されている。目をこすりながら起きて来た相棒と共に、三人は絞りたてのオレンジジュースを飲み干した。たったそれだけの事に今朝の釣人と相棒、少年の三人は春酣の歓びを感じた。


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