例年より雪が多かった冬に春が来た。昨日の快晴、今朝の流れは朝靄を見せてくれた。
海で過ごした魚は遡上回帰を始め、釣人はブルターニュの川へ毛鉤を巻いてやって来た。
今春のブルターニュ釣行は例年より少し遅く、滞在期間も短い。昨日到着した釣人と少年、相棒の三人組はお気に入りの民宿へ荷物上げを終えると、早速、川見に出向いた。途中の街カフェで、まず、サーモンとシートラウト(降海性の鱒)ライセンスの SAISON 2010 を購入。(鱒釣ライセンスに追加が必要)。釣人は時期を過ぎた到着と短い滞在に、少し焦っていた。春の釣りはまだ残されているだろうか?遅れ三人組を、流れは受け容れてくれるだろうか?河口側から順番に上流側へ、プールを車移動して、流れの筋に影と輝きを探す。覚悟の上、今回は川を一つに絞った。勝負の釣場を決めたいからだ。果たして、魚影はあるだろうか?釣人は導かれる様に、去年の釣場へと戻って来た。去年は 4月 5日〜 5月 9日迄が ONLY フライフィッシングの専用期間であったが、今年の釣場掲示板には、 4月 30日迄で既に毛鉤専用期間が終了していた。遡上するアローズ群団をルアーなどの引っ掛け釣りから守る為の毛鉤専用期間の設定であるが、その期間終了は、例年より早く遡上を開始したアローズ群団が既に盛りを終えて去った事を意味している。流れの筋を探すが、魚影らしき動きは見えなかった。只、流れになんとも言い表せない緊張感が漂っている事が、釣人を引き止めた。ブルターニュへの出発日、急に雨が降り始めた事。雨の中を駆け、到着すると午後からの快晴。寒さが続いた気温が急に暖まり、真っ赤な夕陽が訪れた。何かが始まり、動き出す予感だ。それらの全てが、釣人に何かを告げようとしていた。釣人は導かれるままに、今朝の早朝釣りを此処に決めたのだった。川は、「春の朝靄」で歓迎してくれた。寒さ続きの春川の水温が上がっている!。昨日、土地の釣人から、「この二週間一匹も上がっていないよ」と聞かされたこの釣場へ。果たして何が起こり、何を期待するのだろうか?釣人は直感頼りの「イチかバチ」、少年と相棒をこの釣場に引き止めた。三人は、「影の群団」と正対していた。