夜半の帰宅

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夜半の帰宅 

冬のパリは夕暮れが早い。節分も近いが、08:23に朝日が出て、 17:44 に日が沈む。
もう一踏ん張り、根詰めの夜半の帰宅が続く。セーヌの夜景が 1日の疲労を癒してくれる。

日課表に基づき作業を進めるが、机上の計算と実作業とのズレで、なかなか計画通りには進まない。予備日を使いきりながら、なんとか詰めの段階に漕ぎ付けた。もう一踏ん張りだ。「ラストスパートのタイミングを間違えちゃったかな?」釣人は少年に頭を掻いた。仕事後半の押しに、若い時分の体力計算との違いを実感した。仕事を終えて帰宅時間が夜半へとずれ込んで来る。釣人は帰路の散歩道を左岸から右岸へと渡る。夜のセーヌをバトー・ムーシュ(観光船)が世界遺産指定のセーヌ河畔の街並を照らしながらゆっくりと上って来る。パリを訪れた人の夜は、まだ始まったばかりなのだろう。「シャワーを浴びて一杯やろう!」夜半迄付き合ってくれた少年を釣人家の夕飯に招待した。二人は相棒の料理へスパートを掛けた。


冬夜の夢

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冬夜の夢 

サン=ルイ島にある小さなチョコレート屋さんのウィンド・ディスプレーに心暖められる。
小さなチョコレート屋さんの愛情こもる店品には、いつもとびきりの夢が添えられている。

釣人のコーヒーの友は、取っておきの厳選 2つがある。第一は何と言っても黒糖かりんとう。そして第二はチョコレート・オレンジ(オレンジ皮をチョコレートで包んだ物)。一杯のコーヒーにこのどちらかがあればご機嫌になれるから罪のない話だ。もう一つ秘密を漏らしてしまうと、このお店のチョコレート・オレンジは、ベリー・グッドなのである。「心暖めてくれるディスプレーだね。まるで劇場のワンシーンを見せて貰っている様だよ!」釣人は少年を窓前に招いた。釣人の散歩道にはもう一軒のマークすべきチョコレート屋さんがあるが、此方は何と言ってもアットホームな手作り風が魅力だ。冬風が吹く夜こそは、温かい部屋で風音を聞きながら、暖炉の横でゆっくりとした時間を過ごして見たいものだ。居間の暖炉完成は今年の宿題だ。


春待ち空

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春待ち空 

まだまだ遠いが、微かに感じないかい?今日の雲には春の色が映っている。
冷え切った冬のセーヌ川にも春の気配が映り始めた。すみれ色の春待ち草が咲く。

少年は背伸びして西空の彼方を覗き込んだ。「今日の雲には春の色が映っている」。釣人は少年の瞳にまだ届かぬ春風を夢想した。セーヌも二人に呼びかける様に、微かにすみれ色の小花を映し出してくれている。長い冬が続き、なんとか大寒を乗り越え、今日も釣人と少年は散歩道を隠れ家「Dragon」へ向かった。「あと少しで辛抱仕事が仕上がる。やっつけたら、息抜きに出よう!」。「大賛成」少年は目を丸くして、既にそよ風を感じている。上流の淵では冬を凌ぐ鱒も春の兆しを感じているだろう。日照時間と共に、冬空に春の光が混じり始めた。



冬のバニーへ

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冬

Bunny:ウサ(ギ)ちゃん、ボーイハントする女の子。アホな奴ほど、性根は温かい。
虫の飛ばない寒い日、空の色に合わせた柔らかい毛鉤は釣人の心を温めてくれる。

冬の寒い鱒池で、ちょっと "sunny" な Bunny ちゃんに夢を託していた時期がある。釣人は散歩道でウサちゃんを発見、少年に初心の頃を話した。「引き方次第で、とんでもない差が生じる毛鉤だよ。可愛くてフワフワした毛鉤は、侮る事なかれ!使い方次第で冬場の釣りを成立させてくれる毛鉤に成り得るんだ」。演出の仕方が勝負なのだ。「野を歩くウサギを空想してみよう。立ち止まり、じっと動かず、ピョコピョコと歩き出すとまた立ち止まる。立ち止まる度に、その存在を野に消す。それでいて危険を察すると一目散だ」そのまま使わして貰おう。小動物が季節に合わせて毛色を変える様に、毛鉤も其の日の空の色に合わせると面白い。Bunny ちゃんは臆病で気立てのイイ奴だった。釣人は毛鉤を思い、少年は冬空を見上げた。


すみれの命

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すみれの命 

すみれの花言葉は、「温順」、「誠実」、「無邪気な恋」、「小さな愛」。可憐に咲く花だ。
パリを氷結させた寒波(0℃ 〜 -8℃)に耐え、太陽が顔を出すと首をかしげてくれた。

隠れ家「Dragon」の窓に、坪庭にも遥かに及ばぬささやかな植木のベランダを作ってある。目の退屈を癒してくれるグリーンや季節の草花を並べ、楽しませて貰っている。昨年暮れ、寒さの訪れに備えてプチプチで根の凍結保護はしたが、不精で余り手は入れず、もっぱらの野生児に育ってくれている。植木は不器用に好きなだけで、知識はなく、「すみれは、光さえあれば寒さに強いよ」と教えられ、安心して冬場に付き合って貰った。暮れから続いて辛抱が必要な仕事と取り組んでいるが、このすみれの笑顔に随分励まされている。そんな矢先、突然、最低 -8℃の夜が訪れ、寒気団がパリを氷結した。釣人が散歩道を訪れると、すみれの花は首を地に垂れて、痛々しく完全に凍結していた。「温かい部屋に取り込んでやろうと思ったが、時既に遅しと言った処」。釣人は少年に経過を説明した。「その時、心に届く声があったんだよ!」。「氷中の魚が生き返る様に、急な変化を避け、自然の回復力に任せて、外気に残そう」。釣人は目を丸くして、経験の声を少年に話した。翌日、気温が少し上がったので、少量の水をあげた。今朝、太陽が久しぶりに顔を出すと、すみれは蘇り、首をかしげて微笑んでくれた。「凄いぞ!よくぞ生き延びたね!」。二人は、「小さな命」に歓声をあげた。


虎の声 (ブラック・タイガー)

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ブラック・タイガー 

黒い背中に銀色の腹部を持つ美しい大型達。『大きな羊と書くと、"美しい"になる』。
風を切り、心地良い唸り声をあげる。深山に響く夜叉の雄叫びは、虎の声だろうか?

「あまり連(つる)まない」。手間隙掛けて組立てられたマシーンでありながら、持主と対等に付き合い続ける。「虎の様な奴だ」。釣人と少年は、散歩道に並んだ三台の大型マシーンに見惚れた。風を切りながら低い唸り声をあげる。心地良い音だ。恋しい時は、深山の谷川で吼えるのだろうか?怖いもの知らずの大型には、無邪気な程に無防備なあどけなさがある。決して流線型ではないが、虎の様に太い足で千里を駆けるだろう。生まれながらの豊かでしなやかなサスペンションに恵まれ、丸みある厚いシャーシに支えられる。心地良い唸り声も授けられた音だろう。釣人と少年は、目と目を合わすと、隠れ家で早速、鮭竿を磨き直した。


冬の碇泊

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冬の停泊 

新春と共にパリは凍てつく寒さが続き、雪が降り始めた。
芸術橋の横で鉄船が雪に覆われながら、上流を向いて肩を寄せ合っている。

セーヌ川の脇には、何時もの見慣れた船が定まった場所に碇泊している。滅多に動き出す様子もなく、パリの街の風景に同化している。ヨーロッパ大陸を西から東へと移動する寒気団は、この処すっかり居座りを決め込んで、厳しい寒さが続いている。釣人と少年は薄雪が積もる散歩道に新しい足跡をつけながら、芸術橋を右岸から左岸へと渡った。「ウワァ ! 鉄船は寒そうだね!」、少年は上着のジッパーをもう一度顔まで引き上げた。釣人は川上を眺め、上流の V村を思った。温かい湧き水は大丈夫だろうか?鱒も川底で耐えているだろう。畳目を数える様に、少しずつ春の光へ近づく。「忍冬(すいかずら)」の歌詞が思い出された。


虎の様に

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虎の様に 

体を柔らかくして、地面の上を歩いてみよう。

「時たま振り返る。その姿が様になって来たら、タイガー・ウォーキングも完成に近いゾ!」。釣人と少年の初トレーニングが始まった。子供の頃はあんなにじゃれ合っていたコロコロが、一体だれに教わってそのしなやかな風貌を身に付けたのだろうか?「あやかりたいものだ。」釣人と少年は白息を吐いた。新春を迎え、パリは急に寒さを増した。気温は 0℃〜 -8℃と冷え込み、窓の植木をすっかりと凍らせてしまった。「体は柔らかくなっても、耳はカチカチだよ」少年は耳を両手で覆った。この厳しい寒さが、あの深い瞳を育んでくれるのかも知れない。


しなやかな動き

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しなやかな力 

「スペイン人画家 Mr.Javier ARIZABALO」作品から、しなやかな動きを感じ取る。
Galerie ARCHAGE : 24, Place des Vosges 75003 Paris

「寅年 2010 」が静かに弾む様なよくしなう動きでやって来た。釣人と少年は待ち合せをして「隠れ家」へと向かった。毎年恒例となった新年の作戦会議を、二人で心新たに執り行なう。新年明けましておめでとう。今年も宜しく!。「今年は、動きの中に”しなやかさ”で行こう!」釣人が少年に新年の挨拶をした。釣人はラインと糸で毛鉤に繋がっている。竿は、掌とラインの接合を補助し、リールは、長いラインの収容を担っている。時と場合によっては、毛鉤と糸だけでも釣りは成立する。毛鉤箱から摘まれた「毛鉤」が、糸に結ばれ、流れに送り込まれ、活き活きと泳ぎ、釣人の掌に回収され、毛鉤箱へ戻る。釣人の元へ戻る際に、魚を引き連れていると、「釣れた!」歓びが加わるのだ。この一連の動きを、よりスムーズに、「しなやかな動き」で楽しもう。「飛距離や正確度も増すかな?」少年が頬を染めた。動きは、「セッティング」→「緊張」→「ドリフト(緩め)」と続がっている。ゆっくりした動きの場合は、「緊張」の後に「ホールド」が加わるが、「緊張」と「ホールド」をひとつにまとめて考えてみても支障はない。この各動作で、繋ぐ場合は「ゆっくり」、外す場合は「瞬間」に行う。「どんな練習をするの?」少年が目を輝かした。「筋肉繊維を太くするトレーニングと言うより、疲労に耐えて正確な動きを継続する筋肉の乳酸分解酵素を増やすトレーニング、脳からの指令を筋肉へ届ける神経系の活性化。微妙な刺激を感知出来る感性の増強。言い換えれば、総合的なコントロール力の増強だ」。今年は、力を”しなやかさ”でカバーして見たい。柔軟でよく縮む筋肉が必要となるだろう。掌に「シルク・タッチ」を回復しよう。二人はハンドクリーム・ケアから始めてみた。


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