別世界の生き物

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別世界の生き物

春まだ遠い冬枯れの散歩道に獣毛を思わせる不思議な枯れ花が宿る様に残っていた。
冬の寒さから種を守る為だろうか?秋に枯れ、冬に残る花は温かそうな綿毛を覆っている。

「このまま摘み取って詰め込んだら軽くて温かい羽毛服が作れそうだよ」少年が水鳥の羽毛の様な不思議な枯れ花を見つけて言った。冬枯れにふわふわと残る枯れ花は別世界の生き物の様だ。花なのか?実なのか?種なのか?確かにその枝と結ばれているのだが、どこか別の生き物の様な気配すら感じられる。植物でありながら動物性を感じさせられる不思議な存在感だ。海のくらげは全く逆で、生き物でありながら、どこか植物性を感じさせる。自然は不思議なものを創り出す名人だと感じるのは、人間の想像力の乏しさだろうか?いやいや人間の想像力も捨てたものではないだろう。毛鉤の世界では全く別世界の生き物を巻きあげて、魚と遊んで貰っているのだから ...。日常の身の回りに存在する微かな自然の香りの中から、ヒントや閃きを嗅ぎだし、魚と渡り合う毛鉤の探求へ想像力の殆どを使い込む。釣人は少年が少しずつ迷い込む釣りの話を聞くのが楽しかった。そんな話に最近では相棒までが乗り込んで来る。どんな「別世界の生き物」を巻こうか?釣人はもう一度枯れ花を眺めた。




気泡の神秘

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気泡の神秘

小さな水生昆虫が水中で体表に発生する僅かな「気泡」は、正しく生き物である証となる。酸素呼吸の残留物だけではなく、脱皮時には皮膚と抜け殻の間に特殊ガスが発生される。

毛鉤や水生昆虫の観察に未経験の人は、「気泡」と言う言葉からどんなイメージを浮かべるだろうか?陸に上がった蟹の口からプクプクと吹き出される泡粒やシャンペンのコルクを抜いた時の勢いのある発泡などだろうか?何れにせよ、「気泡」や「発泡」と言う言葉から、活き活きとした様子やエネルギーに富んだ様子を思い浮かべられる事だろう。飽く迄も釣人の想像であるが、初期の毛鉤製作者も「気泡」に関しては、一般の人が抱いたイメージと同じ様に想像しただろう。やがて毛鉤に没頭する先達は、水生昆虫の体表に現われる僅かな「気泡」を発見した。それに留まらず、遂には、彼等が脱皮時に体と脱皮殻の間に積極的にガスを蓄え、脱皮行為の補助に使っている事を解明した。この特殊なガスは「エマージョン・ガス」(emasion gas)と名付けられ、現代の毛鉤製作で重要な表現ポイントになっている。このガスの発見は、日常を遥かに越えた究極の想像力や莫大な水中観察写真など、先達による観察の賜物と言える。この発見で、「生命のきらめき」と表現された水生昆虫の水中での「輝き」は、ガスの気泡による反射光と解明されたのだ。お蔭様で、現在は誰もが毛鉤を巻く際に、この知識を重要な「ヒント」として授かり、成果を享受させて貰っている。正しい知識を身に付ける事は「優秀な釣人」になる近道だ。新しい発見への試みは「探求の釣人」の真髄だろう。二人は独学で「楽しみ方」を探し、検証を重ねて自然から教えて貰う道を目標にした。


ギネス・ワールド・レコード

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ギネス・ワールド・レコード

Guiness World Records:アイルランド「 Guiness 」ビール社の関連会社が認定する世界一。The most multifunctional penknife is the Swiss Army Giant Knife 2007. (Wenger S.A.)

少年が街のナイフ店で「Guiness」認定書付きの稀少品を発見した。スイス・アーミーナイフは Victorinox や Wenger がスイス軍の装備として製造を開始したのが発祥で、今では戦闘以外の日用的な用途に使用出来る高品質な懐中ナイフ(penknife)として重宝されている。野外生活やアウトドアの活動に必要とされる器具をコンパクトに収めた道具の代名詞の一つとして皆に知れ渡っている。添えられた認定書には 87用具、141効用とこのナイフが記録として登録された力量ぶりを公開してある。「この一品は、製作者が記録への挑戦を強く意識して情念を燃やした結果の産物だろう」釣人は実用性とは別に、製作者が記録への挑戦に掛けた情熱と愛情に感心した。「これがギネス・ブックの認定レベルなんだね」少年は世界レベルを実際に現場でクリアーするハードルの高さに目を丸くした。「世界記録へ挑戦したい場合は、少なくともこれに負けない情熱を継続しないと勝負にならないよ」二人は世界の壁の厚さを実感した。記録は破られるものだ。ギネス・ワールド・レコードの認定・登録の必要基準の要項には、『今後その記録が破られる可能性のあるもの』という添え書きが記されている。





虫の冬宿

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虫の冬宿

春が近づいている。昨年の秋以来久しくご無沙汰した水辺の感覚回復に足を運んで見る。
春を待つまだ寒い水辺は、目に見えぬ小さな虫から動き出す。誰が建てたか「虫の冬宿」。

そろそろ水辺の泥んこにも慣れておこうと公園の池周りを歩いて見た。山川にわざわざ出掛けなくても、冬を越す小さな虫の足跡ぐらいは見つけれるものだ。鴨のねぐらや風が通らない寒さを凌げる隙間など、ポイントを絞り込んで探して見れば、冬をまだ眠る小さな虫達の寝息くらいは聞けるだろう。釣人は少年とパリ右岸 12区ベルシー公園 (Jardin Yitzhak Rabin)の人造池の周りを歩いて見た。「冬を越す小さな虫達は案外人間の身近にいるものさ」釣人は自信ありげに少年に語った。「水辺を離れて冬を越す間に、感覚が鈍重になってしまっている。まずは、小さな虫の寝息からでも感覚を研ぎ澄まそう!」釣人が少年の感覚に呼びかけた。「面白いものを発見!」早速少年が叫んだ。木箱に「Gite a Insectes」(虫のねぐら)の表札付の人造箱が水辺に添えられていた。中には乾燥させた細竹が詰まっている。寒さを凌ぐ虫達の冬の疎開場所といった感じだ。公園管理人のちょっとしたユーモアだろうが、街育ちの子供へのささやかなプレゼントのつもりだろう。仕事に追われる大人社会から二人は童話「みつばちマーヤ」の世界へ踏み入った。少年は石を捲り、水生昆虫の世界を覗き込んだ。



マリア・ブルー(浮世絵の橋)

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マリア・ブルー

芸術橋(Pont des Arts):1803年に誕生。初の鉄橋で歩行者専用がこの橋の生い立ちだ。
盛り上がる頑強なローマ式の石橋とは違い、何処かに日本の繊細な木造橋の香りがする。

亡きミッテラン仏大統領により原型を保ち修復工事された事は以前にお話した。目下の所、パリに住む釣人の第一のお気に入りの橋である。古代ローマの重厚な石造りの橋も美しいが、鉄製のスリムなこの橋には浮世絵にある懐かしい繊細な昔の日本の橋の香りがする。空の抜けも美しく、何処か葛飾北斎が描く富士山の構図を思い浮かべるのはこの橋を見つめる釣人だけだろうか?水彩画を思わせる淡い空色時も綺麗だが、個人的には、青が深みを増し「マリア・ブルー」に変わって行くひと時に、何故か郷愁に似た気持ちを抱いてしまう。「理由なく、肌合いが心地良い。体の奥で感じる事だよ」釣人は照れながら少年に話した。繋がりとはそんなものだろう。顔・形ではなく、その人の声に惹かれたり、掌の感触やちょっとした癖が心の奥に残る事はよくある事だ。少年にはおじいさんの膝の感触が消える事なく残っている。過ぎ去って行く一瞬の風景も、釣れた魚の瞳の様に心象に残って行く物だろう。



思案とデザイン性

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思案とデザイン性

発想や習慣の違いで着眼点も東西南北、世界中で地域に即したデザインが産まれて来る。
保守的であっても革新的であっても、時代に残り、地域に根付く物はやはり「良品」だろう。

歩く習慣を身に付けると、時間の束縛が無い限り、小さなパリは何処へでも歩いて移動出来る広さだ。春が近ずき、冬仕事の期限に追われ始めると、時間倹約の為に地下鉄やバスを利用する機会が増えて来る。バスの切符は使い始めて 90分間は、番号の違うバス利用に限り、乗換え扱いとされて何度でも使える。旨く使うと 1枚の切符で使い勝手が良いが、初めての場所への移動は路線に詳しくない限り、習慣的に地下鉄を使ってしまう。バス専用道路の充実で移動は早くなり、景色が見えるバスの人気は最近上昇中だ。地下鉄は新型デザインへのチェンジで乗り心地の改良を図っている。パリの工業デザインは機能性の最重視と言う発想だけではなく、やはりヒューマンな楽しみをどこの国よりも盛り込んでいる。例えば、不況で経済性が語られるご時勢に、最新デザインの地下鉄車両にはゆったりとしたビジネスクラス並みの座席がパラパラと車内に設置されている。一見ゆとりの空間デザインと思われたが、皆が席を立つ混雑時は案外こういったデザインの方が乗車スペースを稼げるのかも知れないと思われた。すいている時の乗り心地は旧車両の比較ではなく、長所を十二分に発揮している。「虻蜂(あぶはち)取らず」に陥る失敗を思い切って避けている。発想の違いは気付かない箇所にも存在する。扉上部には日本でも良く見る電車の現在位置を知らせる進行表示ランプがある。「一見同じ様に見えるが、日本のシステムと大きな考え方の違いがあるんだ」釣人が少年に語った。「ランプが点っているのが今から進む駅名なんだよ」釣人が説明した。「日本のシステムは過ぎて来た駅(コース)がランプで示される」。「自分の目的の駅を見定める時、フランスではランプに注意して見つければいいんだネ!」少年はあっ 解ったヨと頷いた。情報灯を通って来た道筋の確認に使うのか?自分の行く目的地に使うのか?この考え方の違いは案外大きい。昨日(23日)、フランスは 18歳になった成人全員に新聞を1年間無料で配達する事を発表した。新聞社が購読料を引き受け、政府が配達料を負担する。活字メディアへの支援と若者の社会意識向上を兼ねた不況対策の一環だ。政府の援助は無料配達や業界への税制優遇、政府広告増加なども含み、3年間で総額6億ユーロ(約700億円)相当の予算で行われる。大統領は記者会見で、景気対策と同時に、若者の社会意識を育てる「将来への投資」で、『新聞を読む習慣は、若い時につけるべきものだ』と落ち着いて語った。釣人は不況の時こそ、目先の事に迷わされず、先を見つめて行く政策に大いに賛成した。釣人は自分流の釣り方の探求に冬の時間を費やす事を少年に勧めた。


大寒越え

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大寒越え

氷が解けたパレ=ロワイヤル庭園(パリ右岸 1区)の噴水が気持ち良さそうに吹き上がった。一年で最も寒さが厳しいと言われる「大寒( 1月 21日頃)」を越え、春へ一歩ずつ近づく。

本日は最高気温 7℃、最低 0℃。気温が温かくなり始めると徐々に雨雲が広がった。毎日小雨で愚図ついた天候が続いている。雲間から顔を覗かせるまだ淡い青空に薄っすらと春の明るさが感じられる。公園の池や噴水の氷もすっかり解けて、久しぶりに元気良く水を空へ噴き出している。「もう寒くないぞ!」釣人と少年は上着のジッパーを胸まで下げて 7℃の大気を体に取り込んだ。「日本では大寒、先日の 21日、22日頃が一番寒さ厳しい日と言われる。この日を境に徐々に春へ向かうんだよ」釣人が久しぶりの水しぶきを眺めて少年に言った。「温かい雨が止んだらまた寒気が来るかな?」少年は毎年の春の訪れを思い出しながら空を見上げた。二人は持ち合った毛鉤箱を見せ合い、そろそろ補充作業に取り掛かろうと話し合った。軽くなった「ポケット」には、まだ秋風が吹いていた事を思い出した。「寒さが居座っている内にもうひと頑張りだ!」冬仕事が終わる頃、気持ち良い風が吹き始めるだろう。


We have a dream.

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We have a dream.

パリ右岸 12区:家具職人の下町は新オペラ座の完成で若者達が集まり、動き始めた。
教会の尖塔(St.Antoine des Quinze Vingts)が溶け込む街並に新春 2009年が始まる。

ワシントンではオバマ新大統領の就任演説に大勢の人々が集まり、世界は TV実況放映に釘付けで見入った。厳しい状況が世界を覆い、人々は新しい変化を求めている。数々の失敗を重ねながらも、世界はやはり希望を模索しながら常に動き続けている。1968年 4月 4日、テネシー州で黒人公民権運動の指導者 マーチン・ルーサー・キング牧師が 1発の銃弾で暗殺された。『60年前、町のレストランで入る事を断られた男(私の父)の息子が、今、最も神聖な場所で宣誓をしている。...』オバマ新大統領が演説の中で語った。「海外で生きる実感が伝わるね」地方から戻った釣人が演説を聞きながら少年に話した。逃れられない生きる為の日常雑多の仕事をこなしながら、「探求」を続けて行く。「そんなに遠い夢じゃないよネ!」少年は遡上鮭を思い遠くを見た。相棒は演説を聴きながら鮭竿を磨く二人に溜息をついた。

詩人が通った大衆食堂

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詩人が通った大衆食堂

ビストロ(仏/Bistro):簡単な食事も出来る酒場。気軽に利用出来る小さなレストラン。
どちらにせよ、「余り高くない」と「旨い」の二つのキーワードをパスしなければならない。

ビストロの呼び名は、登場当時は飲み屋の要素が強かったはずだが、徐々に旨い料理を出してくれる気の利いた大衆レストランの意味と変わって来た。語源はロシア語「早く!、早く!(ビストロ!ビストロ!)」とジョッキでカウンターを叩いて料理をせかしたからだよと聞いた事があるが、昔の話で確証は不明だ。日本語では高級感を付け加えて、ちょっとした小ぶりの高級レストランの呼び名にも使われているが、フランスでは気取らずに利用出来て胃袋を心地良く満足させてくれる大衆食堂の意味合いが強い。釣人は育ち盛りの少年を左岸 6区( rue Monsieur le Prince )にある昼のビストロに招待した。「メニューは任してくれ!昼定食のブフ・ブーギニオン(Boeuf bourguignon)で決まりだよ」釣人の選択に腹ペコ少年は喜んで頷いた。フランスの伝統的な家庭料理だが、シンプルなだけに其の旨さには素材と腕が問われる。同席のテーブルで和気藹々に会話を弾ませ、テーブルに一つ備え付けられた塩やムタールなどを回し合いながら使っての食事もビストロならではの「味」だ。「気取らない雰囲気だけど、随分歴史があるビストロだね」少年が食事が届くのを待ち遠しい感じで回りを見渡した。「良くぞ気付いてくれた。此処は数あるビストロの中でも 1845年創業の老舗なんだよ。正面に見える黒い小箱の棚は昔の習慣でもあった各自が使う<ナプキン・リング>が収まっていた棚なんだよ。各小箱の中は三つに別れていて、当時は自分の使うナプキンとリングを常時行き着けのビストロに保管して置いたのが習慣さ」釣人が少年にフランスの昔の習慣を説明した。「もう一つ取っておきの歴史を聞かせよう!この棚の #3は詩人ベルレーヌ専用箱だったんだよ。天才詩人の美少年ランボーと新鋭詩人ベルレーヌも此処で食事をしたって事さ」釣人の説明を聞く少年の胃袋が鳴った。湯気の上がるお皿がテーブルに近づいて来た。



ブリキのバケツ

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ブリキのバケツ

日本語には沢山の外来語が使われている。ブリキの語源はオランダ語「 blik」と言われる。
バケツは英語「bucket」の日本語版だ。時代を経ながら外来語が母国語に溶け込んで来る。

視覚的な慣れなのだろうが、最初は違和感があったカタカナの外来語も時代を経ると見慣れて来る。帰国して久しぶりに相撲をテレビ観戦した際、外人力士の数の多さに驚いた。一人増え、又一人増えと見慣れていると気にならないのかも知れないが、海外から帰国して、ふと相撲を観たりすると、変わり様に驚かされた記憶は新しい。ところが「ブリキ」とか「バケツ」とかの日常に昔から溶け込んで来た言葉には、ノスタルジーの様な感じさえ持って受け入れてしまう。日本に入って来た時に、「これは便利で重宝なものだ」と当時の日本人に新しく入った新参が喜ばれて受け入れられた状況があったのだろう。釣りの分野では世界レベルで自慢出来る古来からの和式釣法を誇る日本であるが、戦後にルアーやフライフィッシングと言った西洋式釣法が入って来た。当時のハイカラさんや新しい文化に反応する若い釣人に広まった。釣人は若い頃にシアトルでフライフィッシングと遭遇した。日本を離れていたせいもあり、和式の「毛鉤釣り」との違いや比較に興味があり、「毛鉤釣り」と言う和語を使う個人的な習慣になっている。「毛鉤釣り」の話を始めると、どうしてもカタカナだらけの読みにくい日本語になってしまうのが現状だ。「ブリキ」や「バケツ」の様に、そのカタカナにノスタリジーを感じる様な時代がやがて来るのだろうか?そんな言葉を使って釣りの話を語り合ってみたい。




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