JUGEMテーマ:日記・一般
贈る花があるそうだ。主役を輝かせる使命に魅入られた脇に咲く花へ監督から手渡される。
蘭の花でもなく、ユリの花束でもない。アザミ色をした京紫の小ぶりな花がきっと美しい。
パリの屋根裏部屋。改装に使用されたやや安っぽい新建床材や脇木に目をつぶると骨組みのしっかりとした太い梁や先代から譲られた机の質感が見えてくる。無造作に粗く塗られた漆喰の二色のコントラストが苦手な新建材と本来の木肌を持つ木材の魅力を旨く中和してくれている。そんな屋根裏部屋の机の上に一鉢の花が添えられていた。「全てがいい!」。
釣人は久しぶりに少年と話を弾ませた。「体が質感や色の組み合わせを歓んでいるのを感じるよ」釣人は何時もになく少年に語り続けた。少年は釣人が何か新しい物を探し出した事を直感した。輝く主役の脇で使命を咲く花、そんな竿との出会いを予感した釣人の歓びは少年にはまだ少し難しい題材であった。「Scott Mackenzie」氏、釣人は今回の帰国中 に 1人の釣人を見つめて来た。遥か遠く雲上の人だが、久しぶりに感じる人を垣間見る事が出来た。釣人は誰も知られず主役助演の花を贈るべき人を発見したファンの心意気を味わっていた。