シチリア島 「Siracusa」の夕陽

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シチリア島 「Siracusa」の夕陽

Sicilia島 東岸南部「Siracusa」。古き良きイタリアン・クラシックを感じる細工の凝った旧市街は今回の旅で最も味わい深い美しい街並みであった。港には週末のヨットが停泊している。

イタリアの特徴でもあるのだが、旧市街には歴史建造物を思わせる古風な石彫住宅が立ち並ぶ。道を歩きながら窓から内部を覗かせて貰うと、驚く程の「超モダン」な内装で組み合わされている事が多い。この対比させたコントラストの旨さは見事に洗練されたプロレベルで、一般家庭に於いても、「ポスト・モダン」を産み出したお国柄を感じさせられた。古い街並の外壁には、そんな驚きを効果的に演出する味わい深い手の凝った装飾が施されている。「Siracusa」の旧市街は街並が低い造りで空が大きく拡がり、フィレンツェやベニスを思い起こさせるイタリアの香りをも感じさせてくれる美しい街並みだ。小路の住居やアパートの殆ど全ての窓やテラスが花や植木で埋め尽くされており、街中を歩き回っていても気持ちが良く退屈しない。旧市街の港で足を休めると夕陽が美しかった。漁船は余り目に付かなかったが、週末を待つヨットの停泊もこの街の港では日常的に思われ、風景の中に溶け込んで見えた。


マグロ漁

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マグロ漁

過去や現状の乱獲が問題となり、地球全体で数が減り始めた種族は世界規模で保護される。マグロもこの一種で各国専門機関による話し合いで地中海での禁漁が進められている。

イタリアやギリシャは昔から漁民による小船を使ったマグロ漁が盛んであった。捕獲する魚の大きさから言っても漁民にとっては鯨漁にも匹敵する様な大掛かりで重要な収入源であった事だろう。フランスは自然種保護の観点から地中海でのマグロ漁の全面禁止を早くから提案している。各国も現状の絶対数の低下を認めて同じ方向へと動き始めた。専門機関による取り決めが進み、昔からのマグロ漁を行って来たイタリアやギリシャの漁民には難しい状況が迫っている。マグロ漁に関する情報や資料がノスタルジーな絵画や手書きのポスターとして目に付く事が多い事に微妙な現状を感じ取れる。人間に近い哺乳類の保護が進められたり、鮮血が流れる捕獲が重点的に禁止されながら、スーパーマーケットでは清潔にラップされた各種肉類が余る程に売られている。冷凍食品にいたっては世界中の食糧難を救える程の巨大ストックを都市では当たり前に抱えている。減りだした数が問題視される種族保護は、単独課題としてではなく、複合的な観点でグローバルな視野が問われる難しい問題だ。






「揺れる大地」の漁村

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「揺れる大地」の漁村

Sicilia島 東岸中央「Aci Trezza」。ルキノ・ヴィスコンティ監督の映画、「揺れる大地」(1948)の舞台となった小さな漁村。船に掛けられた緑の布切れにシチリア漁師の残り香を感じる。

出発前から漁師が食べるダイナミックな海風味パスタはこの港でと決めてやって来た漁村。世情は小さな漁港を観光化しているが、苦になるモダン化ではなかった。港には小さな漁船が出入りしており、船が戻る時間には引退した父親らしき漁師が軽自動車を埠頭の先に付けて待っている。接岸と同時に、長男らしき若者が水揚げした魚の箱を父親に手早く渡す。そんなに大きな箱ではない。父親は箱を受け取るとすぐさま車で急ぎ出発した。早い入荷が何より大切な様子を感じ取れた。この漁港こそは Luchino Visconti監督「La Terra Trema / Episodio del Mere」(揺れる大地)の舞台となった所だ。映画には「海の挿話」という副題が付けられている。イタリア名門のヴィスコンティ家出身の伯爵でありながらマルキシズムに共鳴してイタリア共産党に入党、「赤い貴族」と呼ばれたり、レジスタンスの活動に関わったとして投獄されローマ開放で釈放されたりの人生を歩んだ人物(1906 - 1976)だ。30歳よりジャン・ルノアールのアシスタントとして映画を学び、「郵便配達は二度ベルを鳴らす」で新進ネオ・レアリスモ監督として衝撃のデビューを遂げる。以降は舞台・オペラの演出を手がけるが、シチリアを舞台に仲買人に搾取される貧しい労働者と厳しい現実を生き抜く漁民の一家を描いた「揺れる大地」で映画界へ復帰する。そしてこの時期に当時のイタリア共産党より離党する。映画の終幕近くに優しく少女が語る『助けられるなら、助けてあげたい』の言葉は彼の現実の心境であっただろう。食前の話が長くなったが、期待の昼食がやって来た。「海産風味パスタ」に「ウニのパスタ」は驚く程に薄塩で何よりも新鮮で繊細な風味だった。相棒と釣人は初めて海産風味のパスタに「塩」を加えて美味しく食べた。新鮮な海産物とはこう言う物だ。

夢の一本釣り

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夢の一本釣り

釣人の白昼夢。海の巨漢、マグロと竿一本、針一個で勝負する。夢適うなら針はピカイチに美しい毛鉤で自分の足で踏ん張りたい。マグロと出会う為に小船を使い海で待ち受ける。

Sicilia島 東岸北部「Taormina」から東岸南部「Siracusa」へ移動する。途中、小さな漁村「Aci Trezza」での昼食が楽しみだ。山道を車で走りながら釣人の心は海にあった。流れの中を直線時速百数十キロの猛スピードで回游する巨漢、マグロの大群団が頭の中にジェット流を掻き立てている。握り締める竿は滅多に使わぬ最強竿 17Feet(D) #13で間に合うか? 最大のリールに目一杯のバッキングを巻き込んで準備する。しっかりと口にフックされた針はちょっとの事では伸びない頑強な鋼製が必要だろう。『先頭のマグロを狙う』。これを掛けたら激しい動きの変化に危機を感じて群れが散る。チャンス 一回 の勝負となる。折れない竿に切れない糸、伸びない針、後は「その日の為に鍛えておこう若者よ!」だけだ。フッキングと同時にファイティングチェアーに体を止めて船で魚を引きずりながら釣るトローリングと違い、大物に小船ごと引きずられながら釣る一本釣りは「シンプルな強さ」だけが頼りだ。そして、これこそが大物と一対一で渡り合う一本釣り唯一の方法だ。パリに残った少年も夢に向かって練習しているだろう。釣人は急カーブをシフトダウンでこなしながらアクセルを踏み込んだ。




甦る「午後の曳航」

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甦る「午後の曳航」

Sicilia島 東岸「Taormina」からの展望。海がオーロラの様に空へ 輝く時、光の中をゆっくりと曳航されて行く一艘の貨物船を想像する。記憶に残る映画「午後の曳航」のシーンだった。

1976年、学生時代に三島由紀夫原作 / Lewis John Carlino 監督の映画「午後の曳航」を観た。原作の深層は自分にはまだ未消化であるが、日米合作で英国の小さな港町を舞台に撮られた映画だ。二等航海士を演じる男優 Kris Kristofferson の風貌が強い印象で残っている。詩人とお茶を共にした際に、「午後への曳航」と読み取りなさいとご指摘を授かった。少年たちに曳航されて行く二等航海士は「午後へ」運ばれていったのだろうか?詩人の鋭い感性に ドキっ とさせられた覚えがある。淡い輝きの中に「動く何か」を想像して凝視したが、穏やかにきらめいているだけであった。この海が嵐に幾人もの漁師の命を飲み込む激しい海に変わるのか?小川でさえ鉄砲水で釣人を押し流す時もあるのだ。「静」の中には「動」があり、「動」には「静」が含まれているのが自然の姿だ。ふと甦った映画にフラッシュバックさせられた釣人の心の中を、巨大なマグロの群団が一直線に猛スピードで走り去って行った。




不思議な彫刻

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不思議な彫刻

Sicilia島 東岸「Taormina」。ギリシャ時代に山の傾斜を利用して劇場が遠く活火山( ETNA山)を背景に造られた。劇場跡に大勢の観光客が足を運ぶ丘陵地にある小さな城壁村だ。

長靴形のイタリア半島が靴先で蹴飛ばしている様な位置にある南の島、シチリア島は長い歴史の中で様々な国の支配を受け、当時の文化は生活の中に取り入れられながら現在の島の各所に形を残している。力強い馬の上半身を持ち、下半身は海を瞬く間に泳ぎ切る魚の形で出来た石造が水を噴いていた。素朴で力強い彫刻様式からノルマン、遥かバイキングの残し物と思われる。遠い海路を力強く前へ前へと進める想像上の生き物だろうが、如何にも海を渡る民族が彫り上げた夢の動物を感じさせられた。神話の世界を持つ文化に様々な想像上の生き物が追加されて来たのだろう。ギリシャが造った吹き抜けの劇場を後のローマが手を加えて劇場正面に壁を付け加えた。時代の流れの中でこの島の文化はその時代を担う権力国の手で作り変えられ、改造を施されて来たのだ。そう言う意味では前文化を後の権力者が破壊して行く通常のパターンから逃れた数少ない文化合併の歴史を持つ島だと言える。太陽が燦々と照り、美しく青く澄む海を持つ島は、無残に破壊する事が惜しまれる何かを人々に感じさせて来たのではないだろうか?面白い格好をした各時代の文化様式の残留物を発見する度にそんな事を感じさせられた。相棒は歴史ガイドブックと格闘を始めた。


海に面した町

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海に面した町

Sicilia島 北岸中央「 Cefalu」の町。穏やかな海に突き出た町は背後を岩山に守られ、東側が岩場の海で西側は静かな砂浜になっている。日光浴を楽しむ子供や老人が泳いでいる。

夏の旅行者が去った砂浜を土地の人がのんびりと独占している。極当たり前の自然な風景が嬉しくなる。昼寝を兼ねた老人や学校帰りの真っ裸な子供達が海で遊んでいる。古く小さな石造りのこの町では、砂浜は自分の家の安全なサンルームと言った感じだ。広い海を眺めて砂浜で遊んでいると、一塊に見える小さな町全体が自分の家、我家の様にも思えてくるのではないだろうか?そんな気がした。美しい海辺を高層ホテルで埋め尽くしたり、若者ご用達サーファービーチ一色の海辺、音楽祭を開催するだけの有名海岸、本来の海の姿はどの様な形だったのだろうか?朝も昼も夜も変わらぬ浜風と波音を寄せる海辺を人間は随分と変えてしまった気がする。お金をいくら積んだ処で太陽はその輝きを変えてはくれないし、海は個人的に支払った料金に合わせて人の心を癒してくれる事はないのだが ...。澄んだ海、太陽が気持ち良く照る島にいると、日常生活の難題を忘れてもうひとつの生きて行く上で大切な環境を教えて貰える。釣人はセーヌから見る夕陽を思い出した。自然は気付かぬ所でその環境の許す精一杯の美しさを披露してくれている。案外人間は生涯を通して、その時々の美しい風景や記憶から強い影響を受けて、様々な判断を続けながら生き抜いて行くのだ。伸びやかな子供の遊び声と波音を聞いていると釣人は一瞬自分が旅人である事を忘れた。


海へ

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海へ

Sicilia島 北岸中央「Cefalu」の街並:一汗掻きながら丘にある「月の宮殿」に登ると町を囲む青い海を見渡せる。テラコッタの瓦色と深みある強いグリーンがイタリアの国旗そのものだ。

島で育った人はこの青い海の向こうに何を空想するのだろうか?そして何時の日か島を飛び出し、また戻って来た時にどんな匂いを嗅ぐのだろうか?澄み切った瞳をした母なる海に囲まれる島で静かな海と正対していると釣人の体の内にそんな自問が過ぎって来る。心の中に海へ問うている自分が感じられた。海の鮭を狙いムーチング仕掛けの釣りに情熱を燃やした若きシアトル時代がぐんぐんと蘇って来る。そう言えば、このシチリア島の沿岸海流の中を直線時速百数十キロのスピードで回游するマグロ群団がおり、それを狙い打つ村人の漁船の話を聞いた事がある。「この島の漁村でマグロ漁の頭領を訪ねて見よう」釣人は手を打って相棒に話した。「マグロのカラスミはパスタに格好!」相棒は美味しいパスタで無事了解。海は川とは一風変わった魅力、無限のエネルギーに満ちている。海風や波音が体内で微かに燃えている灯を静かに太い炎に変えて行く心地良さを久しぶりに味わう事が出来た。

シチリアの青い海

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シチリアの青い海

Sicilia島北岸中央「Cefalu」街中の海。南フランス地中海沿岸のコートダジュールでも望めない、青く限りなく透明な海が 10月後半でも強い太陽に照らされて美しさを皆に晒していた。

この島で生まれ育った人達にとっては、「海の姿」は当たり前にこう言うものなのだろう。
落葉が舞い始めたパリより 2時間半余りの飛行で Sicilia の Palermo に到着した。機内から始まった訛りの強いイタリア語と太い骨格、黒い髪がこれから行くシチリアをより空想の世界へと導いてくれる。近くにありながら、必ず訪れるだろうと、気が付けばこの年迄縁に結ばれなかった島だ。以前はシシリアと呼んでいたと思われたが、今は日本語の活字ではシチリアと呼ばれているのが少し不思議な気がした。個人的には「シシリア」と呼ばれるとギリシャを含め、ローマ、ノルマン、スペイン、フランスの白人色の文化が濃く感じられ、「シチリア」と呼ばれるとアラブやアフリカの有色人の文化を薫りに感じられるのだが如何なものなのかは知識がない。多種の文化影響を受けた都市の Palermo は後に回し、空港到着と同時に早速より小さな町、「Cefalu」を目指してレンタカーを走らせる。久しぶりに見る青い海、夏の旅行者が少なくなった季節外れの島が見せてくれる素朴な美しさが釣人にとっては何よりもの贅沢だった。相棒と共にシチリアの空気を体全体に吸い込んで見た。少年にこの海の青さをお土産に持ち帰ってやりたいと思う。Cefalu は旅行者の数も減りだした季節で、カッコ良く迫力ある島育ちのシチリアーノとシチリアーニが太く黒い眉に輝く瞳で街中を闊歩していた。



留守番


留守番

少年へ伝言
10月 11日(土曜)パリ出発〜 10月 18日(土曜)パリ帰宅の日程でシチリア島へ
出向いて来ます。留守中はスペイフライとキャスティング練習に励んでいて下さい。
隠れ家「Dragon」の第 2次改装工事は無事終了しました。季節外れの青い海を
眺めて来ます。帰宅次第に連絡します。  釣人拝


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