留守番

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留守番

少年へ伝言
3月 30日(日曜)迄、急に仕事で出掛ける事になりました。
竿振り練習に励んでおいて下さい。帰り次第、連絡します。 釣人拝


自然の恵み

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自然の恵み

自然の中に入って行く、大いなる歓びがストレートに伝わってくる 1枚の白黒写真。
少女と思われる主人公の表情とポーズ。それを捕らえたアングルは愛情が溢れている。

懐かしいと感じたのは、子供の頃に覚えのある旧式のスキー用具だけでは無かった。
ストレートな懐かしさ。昔何処かで、極当たり前に感じ得た、嬉しさの凝縮の瞬間だ。
「人生で、もう一度、この歓びの瞬間を川辺で味わえるだろうか?」釣人は少し焦った。
「大声をあげて全力で走り回った時を覚えているかい?」釣人は少年に尋ねた。
「スズメ蜂の巣があって、追いかけられて走って逃げたよ」少年の最後の全力疾走だ。
釣人の頭を過ぎったのは、少年時代に虫捕り網でやっと捕まえた「鬼ヤンマ」だった。
シアトルでは海のキングサーモンを釣り上げた。しかし、全力の走りは忘れていた。
もう一度、そんな時が来たら、釣人は少年と全力で競い合い、走り回ろうと思った。
少年は最新のアシックスシューズを履いていた。何だか急に足が早そうに見えて来た。
釣人は少女の大いなる歓びの写真を見直した。自然の恵みを少しだけ分けて貰った。









ジャストフィット

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ジャストフィット

肝心要の丁度良い大きさは、求める人の用途や都合、要望により変化する。
「ジャストフィット」を求める時、大量生産から、再度、手作業が見直される。

街で何とも言い様のない大きさの椅子を発見した。バランスは抜群だが難しい大きさだ。
一人にはやや大き過ぎ?、二人ではやや狭過ぎ?子供二人には丁度可愛い大きさか?
それでも、落ち着いた姿で、バランスが非常に良く、遂々眺め込んでしまう好みの一品だ。
落ち着き払った風貌から、明らかに何らかの目的を十二分に満足させた自信作だろう。
「これは愛犬か愛猫、ペットと一緒に座る特注椅子では?」考え抜いた釣人の推測。
「ブランコの横に置いた、子供用の二人椅子ではないか?」思案の末の少年の推察。
釣人と少年はこの感触の良い椅子を前に考え込み、好き勝手な空想を馳せていた。
手作業一品物には、製作者の「ジャストフィット」への執念の様な情熱が感じられる。
時代が専属を認め合った頃、様々な「ジャストフィット」の一品、品々が顔を揃えていた。
少年と釣人は、そんな「ジャストフィット」を自分達の釣具へ取り込む方法を考えていた。
試行錯誤や苦心、工夫の末に見つけ出した「ジャストフィット」は、愛着感を倍増する。





冷気浴

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冷気浴

3月 22日(晴/曇/雨):最高気温/ 5度、最低気温/ -1度、現在気温/ 3度(9:30am)。
若葉が芽生え、日当たりで葉を広げ始めたが、高緯度のパリの春は再度足踏みを始めた。

春の陽気到来で温室から外へ出された花屋の鑑賞植物も、さすがに少し寒そうだ。
街人も一度仕舞ったオーバーの襟を立て、手袋で歩いている。霙(みぞれ)が降った。
朝顔は夜明け前の「漆黒の闇」で開花が促される。春待ちも「辛抱」が必要なのだろう。
厳しい環境に晒された時、今までにない何かを補強して順応して行く自然の力だ。
「染物は冷たい清水で洗われて、初めて、色に強さが現れる」釣人が以前聞いた話。
「ニスは乾燥後、寒さを経て、やはりその硬度を増すんだよ」関連が面白いと説明した。
街人の都合など気にもせず、大陸の春は、気ままな道草を繰り返してやって来る。
球根も植物も、近づいている「春」を知っている。釣人と少年も釣行準備を開始する。
今日は、晴れ、曇り、雨、霙。変幻自在の大陸気候、ホカロンを仕込んで冷気浴をする。

残り香

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残り香

Jean-Michel B.Dubos (1931-2001):フランス最後の竿匠。こよなく毛鉤釣りを探求した。
サン=ルイ島、毛鉤釣具店(La Maison de la Mouche)奥部屋にある古のアトリエ旋盤機。

師匠が亡くなって 7回目の春が訪れた。改装されたアトリエに、旋盤機が残っている。
釣人として釣具店を訪れていたが、Jean-Michel から学びたくなり師事することを決めた。
最初はムシュ(Monsieur)と呼び、Jean-Michelと呼べる様になり、「おじさん」と呼んだ。
『お前は馬鹿な奴だ』が褒め言葉で、後から肩を 2回揉む様に叩くのがおじさんの癖だ。
最後迄、おじさんを「 Jean-Mi 」とは呼べなかった。タバコの残り香をまだ記憶している。
様々な事、現在の全てを教えて貰い、自立させて貰った。その後、おじさんは川へ去った。
少年もパリに住み始めてまじかな頃、この釣具店へ鮭竿の扱い方を聞きに訪れていた。
「おじさんが愛犬 Belle を呼ぶ声、僕はまだ覚えているよ」少年が釣人へ言った。
「鮭竿の振り方を聞きに来た時、アトリエの奥にいたんだよ」釣人も当時を想い出した。
店前を竿を持って、何回も行ったり来たりだった。少年にはなかなか押せない扉だった。
「鮭竿の振り方を独りで勉強しているのか?こっちへおいで」アトリエへ案内した。
おじさんは少年に日本茶を出し、ゆっくりと丁寧に鮭竿について説明を始めた。
おじさんにはちょっとした気まぐれだった。しかし、少年と釣人には全ての始まりだった。
少年と釣人は顔を見合わせた。『それは鱒に聞いて見なきゃ解らないよ』二人は笑った。
二人はおじさんを想い出す度に、合言葉の様に、髭を撫でながらおじさんの真似をした。
この次に会う時も、おじさんのちょっとした気まぐれで、必ず皆で時間を共にするだろう。


水面の表情

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水面の表情

水面には様々な表情がある。気圧、風、雨などの自然現象の一刻一刻の変化を反映する。
寝静まる早朝のセーヌは穏やかな寝顔、夜はイルミネートや月光を艶やかに反射する。

街がまだ寝静まっている早朝のセーヌは、あたかも小沼の様に穏やかな表情を見せる。
人が動き出し、街が朝を迎えると、セーヌは巻毛を転がした様な眠そうな緩波が始まる。
船が忙しく動き始めると、セーヌもコーヒーを終えて、左右の河岸にうねり波を寄せる。
午後は川風が吹き、さざ波を風上に走らせる。木の葉を元気良く下流へ流すだろう。
夕方の遊覧船を見送る頃には、ゆっくり大きな波で、セーヌはそろそろあくびを始める。
夕食前のアペリティフには、水面の反射がイルミネーションをコーディネートするだろう。
デザートが終わる頃、セーヌは月光が橋脚を照らし、恋人達を静かな波音で包み込む。
「水面の表情は豊かだね。流れの感情の様なものかも知れない」釣人が少年に話した。
「流れる水だから、色々な表情を創り出せるんだね」少年もセーヌの変化に驚いている。
「緊張感に満ちた水面の表情、そんな風に感じた時もあるよ」釣人が言った。
「そんな水面の表情を見た時は、緊張した?」少年はその水面を想像して釣人に尋ねた。
街中で日常見慣れている水面の表情が、ある時、微かに野生の表情を見せる時があった。
釣人は遠くを見て、「自分の場合は、無性に釣りに行きたくなったよ」と少年に答えた。











若葉の季節

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若葉

街路樹の若葉が芽生えた。春の訪れは、日当たりと競争して、駆け足でやって来る。
山鳩の番(つがい)にはまだ産卵の様子は見えない。巣を見守りながら、観察を続ける。

3月始め、街路樹に巣を作った山鳩の番(つがい)を発見。少年と共に見守って来た。
「春の嵐」が来た。気温が下がり、突風が吹く中、安全な大樹に身を寄せて凌いでいた。
少年と共に、この街路樹の巣を見守る。巣に居ない日が多く、周囲に目を馳せて探した。
落葉の街路樹、「山鳩の巣」は余りにも目立ち過ぎる。彼らはそれを気にしているのか?
「巣に居ない時でも、巣の近くに 2匹は殆どいたね」少年は 2匹の発見名人になった。
「天敵。カラスか?街路樹の葉っぱが巣を隠してくれるのを待っているのか?」
若葉が春陽を浴びて葉を開き始めた。同時に、 2匹は巣に近づき始めている様に見える。
「マイホームが若緑色のカーテンで覆われる頃に、産卵が始まるかな?」釣人の直感。
「産卵後、母鳩の体温が上がり、 2週間少しで雛が孵るだったね」少年の復習。
ブルターニュ地方で春一番の鮭の遡上が始まった。曇り時々晴れ、春の足音が聞こえる。





都会の三人組

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民宿

都会から田舎へやって来た三人組。どうやら何とか、自然に溶け込んでいる様子だ。
その土地の砂利で洗われ、土地の水に錆び、土地の動植物と同じ時間を共に過ごす。

真っ白なワイシャツを着ていようが、白い長靴を履いていても、自然には溶け込める。
人は己の全てを大自然に晒して、初めて、自然の中に溶け込む資格を得るのだから。
「気持ちはアマチュア、技はプロ」僕達は少し丈夫過ぎる長靴をしっかり履いて来た。
しかし、花に近づく正しい精神だけは、大切にポケットの奥に突っ込んでしまってある。
「体の中の空気をゆっくり全部吐き出そう。そうすると大自然の空気が体に入ってくる」
少年は言われた通りに、腹式呼吸の深呼吸で、大自然の空気を体に取り込んでいる。
相棒は『花をのみ 待つらむ人に 山里の 雪間の草の 春を見せばや /藤原定家』。
どうやら、民宿の庭テーブルを眺め、今度は西洋風の野点(のだて)を計画中だ。
釣人は子供の頃に見た、小青花を見つけ出して、嬉しい気持ちになっていた。
生活を少し離れて田舎へ来て見ると、三人組は其々の幼年時代へと遡っている様だ。





春の下見

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春の下見

Gerberoy:パリ北西 80km 程にある田舎作りの家屋や軒並みが可愛い、花の小村。
特別な催しもなく、ふと訪れた村。小さな花や植物、春の手入れが何よりも嬉しかった。

新しい川情報を入手。ピカ 1 の野生ファリオ(ブラウントラウト)川、まずは下見だ。
下見は竿を持たずに、周りの環境をついでにゆっくりと楽しむ。これは相棒も同意見。
お気に入りの釣宿や民宿、美味しい食事に有り付く方法、そしてポケットマネーだ。
魚が良く釣れる川程、小さい川が多い。好みから言うと多少ゆったりした川が好きだ。
休憩場所や車の駐車場所、入渓位置などもしっかり押さえておくと鬼に金棒となる。
「漁業を営むプロの漁師ではないので、漁獲量が何よりとなる訳ではないんだ」。
「狩猟本能が人一倍強く、優れている訳でもない。川の時間を何よりも楽しみたい」。
「日頃から工夫探求して来た釣法を、自分流に、魚と川に真剣に尋ねて見たいんだ」。
釣人は相棒、少年の存在をすっかり忘れ、流れの筋を、亡羊とした眼差しで眺めていた。
川幅が気になるんだ。漁獲量は予想外多くなると思うが、捕獲の仕事になりそうだ。
「近くの村を訪ねて、昼食にしよう!」釣人は流れから目を移し、周りの春を眺めた。
「綺麗な毛鉤で、綺麗な魚を釣ろう!」少年の春の主張。釣人と相棒が一緒に笑った。






一角獣

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一角獣

「貴婦人と一角獣」。unicorn:額の中央に捩れた角を持つ白馬に似た想像上の動物。
純潔、清純の象徴とされ、英国王室の紋章では、ライオンと並び王室の盾を支える。

少し暗いが目を慣らそう。釣人と少年はクリュニー美術館の 2階でタピスリーを見学中。
「少しずつ回りの気配が敏感に響いて来るのを待つことが大切だ」釣人が解説する。
七回、吐く息を長く、深呼吸をして見よう。様々な響きが敏感に聞こえ始めて来る。
「本当だ!貴婦人の右手の手鏡に一角獣の顔が映っている。見えて来た」少年が驚いた。
「だけど、一角獣は鏡の自分じゃなく、貴婦人の目を見ているね」少年には良く見えた。
一角獣は想像上の生き物とされており、たぶん現実には存在はしなかっただろう。
それでもこのタピスリーの製作者は、貴婦人と一角獣をこれ程までに親密に描きあげた。
そのものが「いるかいないか」を問われた時、心の中に「いる」と答える事は多い。
その時の各自の気持ちを、個人の自由の範囲で説明すれば、それで応対になるからだ。
しかし、この世に絶対「いない」ことを確定することは、実際問題として不可能だ。
釣りの世界では「幻の魚」は稀少ではあるが、現実に存在し、多少記録にも残っている。
自然界の非常に稀な確立や環境、偶発的な出来事が織成した時、「幻の魚」が誕生する。
鮭の場合では、「産卵後、突発的な大増水の濁流で、海へ再び押し流された鮭の再生」。
変化に富む自然界で、極稀に、この様な奇跡が重複され、「幻の巨大鮭」が誕生する。
そして、ごく稀に幸せな釣人が、その「幻の魚」と遭遇する幸運に恵まれるのだろう。



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