JUGEMテーマ:日記・一般
言葉は通じなかったが、君は釣人の目を見詰めて、何かを伝えようとしてくれた。
少女は風上に小さな胸を張った。少年は少し照れながら、釣人と力競べをする。
旅行ガイド本の「カタカナ言葉」では通じ合えない何か?を 君は教えてくれた。
取って付けた様な観光言葉より、釣人は旅人の言葉で君と話したかった。解らぬ
言葉だっただろうが、君は目を輝かせてくれた。それだけで釣人には十分だった。
本当は、君と話したくて、パリからやって来たんだ。パリの街角で、何処からか
君の声が届いた様に思えた。君達を「愛しのカエル顔」と呼ぶのは、お世辞が旨く
言えない釣人のナイーブさだと、笑っては許してくれ!。 「ありがとう!」。
今日、僕は君と別れる。旅の終わりに、釣人は、もう一度、旅本を読み直した。
宮本 輝著 「蛍川・泥の河」新潮文庫より (各文面一部分づつを引かせて頂く)。
(泥の河)
「お米がいっぱい詰まっている米櫃に手ェいれて温もってるときが、
いちばんしあわせや。 ...... うちのお母ちゃん、そない言うてたわ」
(蛍川)
「千歩。歩こう」 とそれまで一度も口をきかなかった竜夫が言った。
「千歩行って蛍が出なんだら、あきらめて帰るちゃ」
「千五百歩目で出たらどうするがや」 と英子がなさけなさそうに
答えたのでみんな笑った。
「よし千五百歩まで歩くちゃ。それで出なんだらあきらめるがや。
それに決めたぞ」
あと何歩先まで歩こうか?人は、其処で、これからの行先を賭けて見る事が在る。
旅の途中で 『何万何十万もの蛍火が、川ふちにうねる』 光景には出会えなかった。
しかし、旅の中で釣人は、君の瞳の奥に、静かに燈る一匹の蛍を見た様に思えた。
君が暮らす美しい自然、釣人は君へ語り続けていた。 大切に!「君に幸あれ!」。
言葉は通じなかったが、君は釣人の目を見詰めて、何かを伝えようとしてくれた。
少女は風上に小さな胸を張った。少年は少し照れながら、釣人と力競べをする。
旅行ガイド本の「カタカナ言葉」では通じ合えない何か?を 君は教えてくれた。
取って付けた様な観光言葉より、釣人は旅人の言葉で君と話したかった。解らぬ
言葉だっただろうが、君は目を輝かせてくれた。それだけで釣人には十分だった。
本当は、君と話したくて、パリからやって来たんだ。パリの街角で、何処からか
君の声が届いた様に思えた。君達を「愛しのカエル顔」と呼ぶのは、お世辞が旨く
言えない釣人のナイーブさだと、笑っては許してくれ!。 「ありがとう!」。
今日、僕は君と別れる。旅の終わりに、釣人は、もう一度、旅本を読み直した。
宮本 輝著 「蛍川・泥の河」新潮文庫より (各文面一部分づつを引かせて頂く)。
(泥の河)
「お米がいっぱい詰まっている米櫃に手ェいれて温もってるときが、
いちばんしあわせや。 ...... うちのお母ちゃん、そない言うてたわ」
(蛍川)
「千歩。歩こう」 とそれまで一度も口をきかなかった竜夫が言った。
「千歩行って蛍が出なんだら、あきらめて帰るちゃ」
「千五百歩目で出たらどうするがや」 と英子がなさけなさそうに
答えたのでみんな笑った。
「よし千五百歩まで歩くちゃ。それで出なんだらあきらめるがや。
それに決めたぞ」
あと何歩先まで歩こうか?人は、其処で、これからの行先を賭けて見る事が在る。
旅の途中で 『何万何十万もの蛍火が、川ふちにうねる』 光景には出会えなかった。
しかし、旅の中で釣人は、君の瞳の奥に、静かに燈る一匹の蛍を見た様に思えた。
君が暮らす美しい自然、釣人は君へ語り続けていた。 大切に!「君に幸あれ!」。