別れの時が来た。君に励まされ、旅を続けられたよ。さようなら、ありがとう。
釣人は、過ごした短い時間と輝きを胸奥のポケットに大切に仕舞い込んだ。
何時か?一緒に流れの前で歌える日があるだろうか?シェリダン・アンダーソンの
好きな、1900年代初期キャリフォルニア・ピット・リバー・インディアンと共に
時を過ごした詩人ジェイム・ドゥ・アングロ から引かせて頂く。彼はカウボーイ、
人類学者、医者、そして詩人で生きた。釣人は、君と歌う流れの時を思い浮かべた。
狐はたったひとりで暮らしていた。
大地はなかった。そこいらじゅうが水びたしだった。
「どうすりゃいいんだろう」狐はひとり言(ご)ちした。
狐は、答えをさがすかわりに、歌い始めた。
「ぼくは誰かに会いたいんだ」
彼は空に向かって歌った。そしたら、コヨーテに会った。
「誰かに会いにいこうかと思ってたんだ」狐は言った。
「どこへいくんだい?」コヨーテが聞いた。
「ぼくは誰かをさがそうとして、そこいらじゅうをほっつき歩いたんだ。
ぼくはここで、ちょつと悩んでたんだ」
「そうだったの。ふたりで一緒にいったほうがやっぱりいいよね ....... 」
「そうとも、でも、どうしようか?」
「わかんないよ」
「わかった!世界をつくってみようよ」
「でも、それからどうすればいいんだろうか」コヨーテが聞いた。
「歌うんだよ!」
狐が言った。
詩人 / Jaime de Angulo
釣人は少年の屋根裏部屋で2013年ペルー二人山旅のお土産話を語り終えた。
少年の毛鉤箱にアンデス色の毛鉤が一つ増えていた。少年の巻いた毛鉤だった。