キングの幻影

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キングの幻影 

ローマを後にする。浅い居眠り中、相棒に起こされた。モンブランが ... 、過ぎた!
既にカメラフレーム外に見えた。糸を引き出しながら、キングの背鰭が消えて行く。

何回かアルプス上空を行き来しているが、今回のモンブラン山頂は、格別だった。
青空へ突き出した頂は、海で掛けたキングサーモンの背鰭の如く、悠々と糸を引き
出しながら、遥か沖合へと遠退いて行った。釣人は山々の頂に、シアトルの海釣り、
キングサーモン(太平洋鮭)のムーチング釣りを思い出していた。海の鮭釣りは引き
が強い。浅層で掛かるのがシルバー、深場に餌針が届いて掛かるとキングになる。
シルバーは海面へ浮上すると跳ね回るが、キングは海面へ浮き上がっても悠々と
背鰭を空中へ晒して力強く沖へ向かう。たっぷり巻き溜めたモノフィラメント釣糸に
ステンレス・ベアリング入りの撚戻し、頑強な鮭針、リール、柔らかめで腰の強い竿
が有れば良い。陸にカーレン(潮流)が寄る釣橋から、錘なしのフカセで狙う釣方が
釣人の好みだった。小舟も不必要なのだ。アトランティックサーモン(大西洋鮭)の
川での毛鉤釣り同様、シンプルな程興味深い。写真に納める事は適わなかったが、
機内窓には、寝惚け眼の釣人を遥か遠く沖合へ引きずるモンブラン山頂が見えた。


神々の夜

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神々の夜 

旅の風に吹かれ、暫し「からっぽな頭と心」で放浪気分を満喫する。
今晩の石像は遥か彼方のお月さんと何を語り合っているのだろう?

柔らかい茹蛸、パスタにワインを平らげ、ご機嫌な帰り道、お月さんは白い半月。
広場では大きな石像が、今晩も真剣な表情でお月さんに声を掛ける。「悠久の時、
人生は流れ星の如しか?」釣人は久しぶりに相棒の掌を引いた。少年もパリにて
同じお月さんを眺めているだろうか?「いい風が吹くなァ .. 旅に出よう!」きっと
遥かお月さんにも届いただろう。ローマの夜は、神々の声がを聞こえて来る様だ。


絵画と織物

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絵画 

織物

無照明、手持ちフレームの素人撮影。序でに、美術史と芸術評論もご容赦下さい。
少年と共に語り合いたい衝動に駆られ、名作 2枚を写真に引かせて貰った。

損傷防止の為、光の少ない写真で申し訳ない。ご覧の通り、絵画と織物の写真です。
同じ下絵を元に描かれているので、雌狼の前腕傍にいる小蟹まで全て同じ描写です。
絵画の絵具、織物の染料の違いによる発色、退色の違いは除外し、其々を鑑賞する。
釣人は、この素材の違う二つの表現に、空中と水中の世界の様な空想を抱いて見た。
筆のタッチで描かれた絵画と職人の手仕事で織り込まれた織物。「雌狼の毛質感は?
植物の生き生きさは?筋肉の質感は?」釣人は少年と一早く検証してみたくなった。
茫然と鑑賞に浸りながら、釣人は何処かに、「毛鉤は織物に近し?」と感じていた。


旨みの色

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旨みの色 

イタリアの旨みは、色合いと共に在り。目で楽しみ、舌で味わい、胃袋へ収める。
種類豊富なオリーブ漬けだが、この爽やかで新鮮な色合いは、癖になってしまう。

イタリアでの食味に関しては「見るからに .. 」の期待を裏切られた経験は少ない。
余りにも爽やかな色合いに釣られ、口へ運んで以来、すっかり癖になってしまった。
一噛みで口に広がるジューシーな爽やかさ、釣人と相棒、二人揃って舌鼓を打つ。
パリで待つ少年の顔が浮かび、少々余分に買い込んだ。此の食感は、野生鱒にも
通じるものかどうか?捕食されるカゲロウは短い鮮やか色で空へ飛翔し、水面へと
落ちて産卵後、命閉じる。絶命後、色はみるみる枯れ葉色へと変色する。短い命を
色と共に過ごしたのだろう。このオリーブの鮮色と同様、美しい色は退色して行く。


黒い瞳

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黒い瞳 

スペイン広場からポポロ広場へ向かう通り裏に、お気に入りの小路がある。
道一筋隔てるだけで、人通りは減り、空想へ夢駆られるウィンドーが続く。

お気に入り小路を散策していると、「黒い瞳」に見詰められた。イタリアの黒だ。
墨を落とした様な深みを持ち、石造りの街に映る影より強く、意思を秘めた色。
やや褐色に染まる肌を、その瞳は純白の様に語って見せる。釣人の話題だが、
釣れる毛鉤は天然の黒色か?人工色の黒か?個人的で議論尽きない難問だ。
空想では、コントラストと言う観点を頼りに、濁りを増した増水には人工色の黒、
澄んだ清流には天然の黒色素材が向いているのでは?と思っている、此れは、
魚に訊ねずば解るまい。「黒より深い漆黒の暗部を、どう毛鉤に配置するか?」
黒の記憶が、釣人を空想へ誘う。釣人や少年、魚を迷わす「黒い瞳」を考えた。


石造り

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石造り 

時代の影響を受けながら、引き継がれた様式美が石に刻まれて残っている。
強さを求めたローマ兵が闊歩した街、西洋が築いた理想主義の香りを嗅いだ。

街を歩くと、開けた広場の噴水やパリで見る物より一回りも二回りも大きな石像に
新鮮なイタリア風味を感じる。釣人は、バロックやネオクラシックの大胆な曲面や、
動きの強い構図に日本の歌舞伎の一場面を連想した。それらの縁は繊細な模様の
技巧凝らした石彫で惹き立てられている。釣人はクラシックサーモン・フライの様式
を表現する際に於いても、縁取りのコーナー部仕上げの重要性を、再度実感した。
やはりコーナー部が決まっていると、大胆な素材の使い方が生き生きと感じられる。


ローマの休日 2012

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ローマの休日 2012 

暖冬のパリから出発して 100分、 Rome Fiumicino 空港へ到着。
年末、新年と少々飛ばして来た。一足早く、春の太陽を浴びて骨休み。

まずは、カウンター立飲み「マロッキーノ/marocchino」で、ローマとご対面。
パリジャンと一味違う御婦人方の色彩に、毎回感心させられる。イタリアでは、
パリの色彩は上品でラフィネなどと称賛し、パリから訪れるとイタリアは凄い!
と遂見惚れてしまう。同じラテン系の微妙な感覚を楽しみ、新しいアイデアや
発想に何よりの力を貰う。カカオ風味の 一杯のマロッキーノが歓迎してくれた。


フィレンツェみやげ

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フィレンツェ みやげ 

映画「ハンニバル」、レクター博士宜しく、サンタ・マリア・ノヴェッラで香りを嗅ぐ。
お気に入り釣帽店のチェック後は、カフェの立ち飲み「マロッキーノ」で一服入れる。

今回のネット Eチケットを格安通り使い熟すには、工夫と心構えが必要となる。荷物は 10kg以内一人一個の機内持ち込みに納める事。(預け荷物も可能だが、別途追加料が生じる)。と、此処までは簡単だが、航空セキュリティーの関係で、 手荷物での液体物やクリーム状の持ち込みが厳しく制限される。オリーブ油や年代バルザミコ酢、以ての外、クリーム状までとはさすがに厳しい。気が付くと、年代の風味に惹かれ、相棒と共に PARMIGIANOチーズをキロで購入済だった。冷や汗もん、PARMIGIANOチーズは空港セキュリティーを無事通過。少年のみやげと共に空へ飛び発つ。「マロッキーノ」の味覚は、胃袋に納めてパリへ帰ろう。


天使のいたずら

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天使のいたずら 

天使が両腕で魚を抱えていた。翼ある天使は、どうやってその魚を捕まえたのだろう?
会心の笑顔は、その魚に至る数々の作戦やいたずら、失敗や大成功を物語っている。

『悪魔のように細心に、天使のように大胆に!』 /黒澤明 。映画の演出へ残された言葉だ。天使を想像出来る人は、遊びの奥義を極めた人に違いない。数々の苦渋を味わい、逆境の中でこそ微かに見えた「夢の作戦」。実行前夜、その人は天使の存在を思うかも知れない。結果の成否に関わらず、明るい微笑みで自分をからかってくれる者。釣人は、万全を尽して掛けた魚を瀬戸際で逃がした時、今日は「天使のいたずら」にやられたと悔しがる事にした。


メドゥーサ幻想

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メヅゥーサ幻想 

金髪の乙女メドゥーサ、何を望み、何処へ歩いて行こうとしていたのだろうか?
シニョリーア広場(Piazza della Shignoria)を後にしても、彼女の面影は消えなかった。

余りに劇的な変貌が、釣人の空想を錯乱させていた。乙女に流れてい筈の生命も血液も、女神アテナの呪詛(じゅそ)と共にその色を変えたのか?斬首されたゴルゴン/メドゥーサの頭を運んだ布切れから滴り落ちた血は、砂上に落ちて「蠍(サソリ)」となり、海上へ落ちては「赤珊瑚(サンゴ)」に化したと言う。神話は、凄まじさと哀愁で釣人の心を揺さぶった。斬首の瞬間、飛び立った白馬ペガサス、戦士クリュサオル。それは、怪獣ゴルゴン/メドゥーサの「誠の証」だったのか?釣人と心の流れの中を金髪の乙女メドゥーサは静かに漂っていた。


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